あやぶろ/OLD

テレビの中の人による唯一のテレビ論、メディア論ブログ

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20132/20

テレビがつまらなくなった理由

まず、お断り

 

今回のタイトルは、一般視聴者やユーザーにとっては別に普通かもしれませんが、テレビ関係者にとっては思いっきり挑発的に感じるような表現にしてしまいました。でも別に炎上マーケティングを狙ったのではありません。真面目に考えました。

 

テレビはつまらなくなった…を認める?

 

「テレビがつまらなくなった」といろんな人に言われる。中には「私は民放は見ないことにしているんだが、なぜ最近のテレビはつまらなくなったんだ?特に民放がひどい。」などと言うご仁もいる(見てないのになぜつまらないってわかるんだ!)。こういう発言は、なぜか大新聞のOBの方からよく言われる。見てもないのにつまらないと決めつけるのはともかく、私は「つまらない」という意見が「けしからん!」と思っているのではない。なぜなら私自身も「テレビはつまらなくなった」と感じているのだから。

あやとりブログは、テレビの制作現場の方々にも読まれているので、現場で日々苦闘されている方々からは反発されるだろう。「あなたはテレビの敵なのか」とか「テレビから給料をもらっていてよくそんな発言ができるな」とか。それらはいちいちごもっともです。でも言い訳ではないけれど、私はテレビの様々な現場や、裏方、放送外事業の仕事もして30年以上、TBSにメシを食わせてもらってきた。ずっとテレビの味方のつもりだったし、テレビがもっともっと元気でいてほしいと今も強く願っている。だからこそ「今のテレビはつまらない」を認める事から始めようじゃないか、と思うのだ。

 

「テレビ離れなどない」とか、「テレビの力は全然衰えていない」とか、「テレビは今でも面白い」という意見もある。もちろん高いお金を出してスポンサーになっていただいているお客様の手前、このような建前を崩すのはとても怖いし容易ではないことはよくわかっている。

 

しかし、テレビを見てくださっている視聴者も、ユーザーも、それに大切なスポンサーも、既にかなり前から気づいているのではないだろうか。自分たちはテレビを見なくなってきていること、テレビはスマホに比べれば別に自分にとって大切じゃないこと、テレビはあんまり面白くなくなっていることを。

 

今の閉塞状態からなんとか抜け出さなければならない、と思わないテレビマンはいないはずだ。「今、テレビはつまらなくなっている」、それを認めたところから議論は始まる。

 

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    • Takahiro Koyama
    • 2013年 2月 23日

    以前ネットでテレビ番組作りに詳しい人から
    「製作会社と制作会社の違いを知っているか?」
    と聞かれました。
    「製作会社は、何時に放送するか、分野は何か、アニメか実写かなど計画を立てる会社、
    製作会社はその計画書を渡されて実際に番組を作る会社だ」
    というのがその人の意見です。
    その延長線で私が気がついたのが、
    テレビ番組、例えば報道やバラエティ番組を見ていたら、一番組には三つの部門があるのですね。
    町や記者会見場に足を運んで聞いたり集めたりする取材部門、
    スタジオ現場、
    そして放送するか否かの判断を下すデスク。
    スタジオ現場は取材班の情報を与えられて、基本的にその情報にリアクションをとることが多く、ときどき情報の捏造番組や取材の不備、不甲斐なさに怒ったりします。
    取材班は実は番組や出演者のネームバリューを使って仕事をしたりしますが、
    デスクへの言及って、まずありません。日テレの「ガキのつかい」や「電波少年」で責任ディレクターが番組に出るくらいで、韓流反対デモだったり視聴率至上主義への批判も、個々の責任者が矢面に立つことは有り得ないのですね。
    もちろん業界内では業界の掟に縛られているのでしょうけど、一般の視聴者にとっては全く関係を持つことが出来ない聖域ですので、「世間の目」に洗われることは無いのだと思います。
    あとハードウェアとしては、今までは1対多で情報を発信していたのがIT革命で逆転し、多対1で情報が殺到しているのに、大手通販会社やコンピュータコールセンターのような対応ができない。
    「視聴者からご意見を募集します」と言っても限られた意見か、機械的に垂れ流すだけ。
    「俺の意見って結局無視されるんだな」という腹立たしさが募っているのだなぁと考えています。

    • Takashi Hamamoto
    • 2013年 2月 23日

    テレビ局のトップの人はまだまだ「視聴率ありき」のスタンスでいたのが意外でした。もう実質ドラマやアニメ(特にTBSなら)、DVDやブルーレイの販売と映画化によってビジネスをまわしていると、テレビ局の中の人なら本音ではわかっていると思っていました。

  1. 2014年 7月 05日
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