テレビがつまらなくなった理由
テレビはつまらなくなったというよりも・・・
テレビ業界でも「最近のテレビはつまらくなった」と感じているのは、私だけではない。かつて番組制作の現場で同じ釜の飯を食っていた古い友人に会うとよくこの話題になり、意見が一致してしまう。
私の3年後輩で、ドラマ史に残る数々の名作を生み出した貴島誠一郎さんとフェイスブック上でこのテーマを語りあった際、貴島さんは「テレビはつまらなくなったというよりも、面白いものの数が少なくなった。つまり多様性を失った。理由はご推察通りで・・・」とメッセージを寄越してくれた。
その通りです!「つまらなくなった」をもっと正確に言うと、「どの局を見ても同じような番組しかやっていないので、全体としてつまらなく感じてしまう」ということなのだ。
ではその原因は何なのか。これが今回のテーマ、ようやく本題に入ります。
視聴率のせいだ
またまたテレビ関係者から反発を食らうようなサブタイトルにしたが、言うまでもなくテレビにとって視聴率は極めて重要です。それはよくわかっています。テレビは広告を買っていただく事で視聴者にはタダで番組を見ていただける。その広告価値を測る唯一の尺度が視聴率だ。視聴率は巨額のテレビ広告売上げに直結するので、利益を出して株主に還元しなければならない経営者は、「視聴率を少しでも上げろ!」、「番組をハズすな!」という指令を現場に出す。さらに利益を捻出するために「金をかけるな!」という指令が加わり、過度な演出や番組制作上の瑕疵を追及する社会の声も大きいので「ミスを犯すな!」という指令も加わる。どれももっともなことだ。経営者として正しい判断に思える。
しかしそれによって高い視聴率を獲れる番組が多く生まれるのか、というとむしろ逆の効果をもたらしている。
コメント
ワンセグ全番組タイムシフト視聴は視聴率を下げるのか検証してみた〜ガラポンTV視聴ログより
リアルタイムの放送をテレビで視聴する人が増えることは良いことです。 言うまでもなくこれは「視聴率が上がる」ことを意味します。 &nb…
以前ネットでテレビ番組作りに詳しい人から
「製作会社と制作会社の違いを知っているか?」
と聞かれました。
「製作会社は、何時に放送するか、分野は何か、アニメか実写かなど計画を立てる会社、
製作会社はその計画書を渡されて実際に番組を作る会社だ」
というのがその人の意見です。
その延長線で私が気がついたのが、
テレビ番組、例えば報道やバラエティ番組を見ていたら、一番組には三つの部門があるのですね。
町や記者会見場に足を運んで聞いたり集めたりする取材部門、
スタジオ現場、
そして放送するか否かの判断を下すデスク。
スタジオ現場は取材班の情報を与えられて、基本的にその情報にリアクションをとることが多く、ときどき情報の捏造番組や取材の不備、不甲斐なさに怒ったりします。
取材班は実は番組や出演者のネームバリューを使って仕事をしたりしますが、
デスクへの言及って、まずありません。日テレの「ガキのつかい」や「電波少年」で責任ディレクターが番組に出るくらいで、韓流反対デモだったり視聴率至上主義への批判も、個々の責任者が矢面に立つことは有り得ないのですね。
もちろん業界内では業界の掟に縛られているのでしょうけど、一般の視聴者にとっては全く関係を持つことが出来ない聖域ですので、「世間の目」に洗われることは無いのだと思います。
あとハードウェアとしては、今までは1対多で情報を発信していたのがIT革命で逆転し、多対1で情報が殺到しているのに、大手通販会社やコンピュータコールセンターのような対応ができない。
「視聴者からご意見を募集します」と言っても限られた意見か、機械的に垂れ流すだけ。
「俺の意見って結局無視されるんだな」という腹立たしさが募っているのだなぁと考えています。
テレビ局のトップの人はまだまだ「視聴率ありき」のスタンスでいたのが意外でした。もう実質ドラマやアニメ(特にTBSなら)、DVDやブルーレイの販売と映画化によってビジネスをまわしていると、テレビ局の中の人なら本音ではわかっていると思っていました。