あやぶろ/OLD

テレビの中の人による唯一のテレビ論、メディア論ブログ

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20132/20

テレビがつまらなくなった理由

番組が当たる確率は2割から2割5

 

かつて私が制作現場にいた頃は、新番組を4つ5つスタートさせて1つが当たれば大成功だと言われていた。その成功した番組は、「少しでも高い視聴率を獲る」ことや「番組をハズさない」ことを『目的』に作られたものではない。誰も作ったことのない全く新しい番組を作ってやろう!オレ(制作者)が面白いと思うもの良いと思うものをとことん追求して作ろう!としてできたものだ。高い視聴率は、面白い番組の結果だ。番組がハズレないで当たったのは、あくまで結果だ。幾つもの冒険の中から、わずかな成功が生まれる。テレビとはそういうものだ。だからテレビ制作の現場は常に冒険を追い求めていた。

 

冒険をすれば、当然そこにはミスが生まれる下地が存在する。しかし今はミスは許されないし過剰な演出をするとすぐに批判が殺到する。BPOという怖い存在もある(BPOの方々は、自分たちはそんな存在ではないとおっしゃるだろうが、現場からすれば、結局はそうなのだ)。

上からは「番組をハズすな」、「とにかく問題を起こすな」と言われ、その一方で「視聴率は獲れ」と言われる。

 

これは元々無理な要求なのだ。

 

当たるテレビ番組を生み出すには冒険をしなければならない。冒険をすれば、失敗(ハズレ)は必ず生ずるし、ミスが起きる確率も高まる。

 

テレビという事業モデルは低い番組成功率が前提となっているのだ。

 

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    • Takahiro Koyama
    • 2013年 2月 23日

    以前ネットでテレビ番組作りに詳しい人から
    「製作会社と制作会社の違いを知っているか?」
    と聞かれました。
    「製作会社は、何時に放送するか、分野は何か、アニメか実写かなど計画を立てる会社、
    製作会社はその計画書を渡されて実際に番組を作る会社だ」
    というのがその人の意見です。
    その延長線で私が気がついたのが、
    テレビ番組、例えば報道やバラエティ番組を見ていたら、一番組には三つの部門があるのですね。
    町や記者会見場に足を運んで聞いたり集めたりする取材部門、
    スタジオ現場、
    そして放送するか否かの判断を下すデスク。
    スタジオ現場は取材班の情報を与えられて、基本的にその情報にリアクションをとることが多く、ときどき情報の捏造番組や取材の不備、不甲斐なさに怒ったりします。
    取材班は実は番組や出演者のネームバリューを使って仕事をしたりしますが、
    デスクへの言及って、まずありません。日テレの「ガキのつかい」や「電波少年」で責任ディレクターが番組に出るくらいで、韓流反対デモだったり視聴率至上主義への批判も、個々の責任者が矢面に立つことは有り得ないのですね。
    もちろん業界内では業界の掟に縛られているのでしょうけど、一般の視聴者にとっては全く関係を持つことが出来ない聖域ですので、「世間の目」に洗われることは無いのだと思います。
    あとハードウェアとしては、今までは1対多で情報を発信していたのがIT革命で逆転し、多対1で情報が殺到しているのに、大手通販会社やコンピュータコールセンターのような対応ができない。
    「視聴者からご意見を募集します」と言っても限られた意見か、機械的に垂れ流すだけ。
    「俺の意見って結局無視されるんだな」という腹立たしさが募っているのだなぁと考えています。

    • Takashi Hamamoto
    • 2013年 2月 23日

    テレビ局のトップの人はまだまだ「視聴率ありき」のスタンスでいたのが意外でした。もう実質ドラマやアニメ(特にTBSなら)、DVDやブルーレイの販売と映画化によってビジネスをまわしていると、テレビ局の中の人なら本音ではわかっていると思っていました。

  1. 2014年 7月 05日
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