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201310/2

第1回あやぶろナイト・・・大盛況&過激なイベントでした!

 

あやとりブログとして初、だけでなくTBSメディア総研としても初めてのイベントでした。
以前から、有料セミナーというものに挑戦してみたいと思っていたのですが、時々行う「あやぶろ飲み会」(執筆者が集まって飲んで語る会)の雰囲気を再現したくて、セミナーではなくトーク・イベントにしてみました。会場の参加者(お客様)も一杯やりながら、登壇者の志村一隆さん、河尻亨一さんも私も(境治さんは現在アルコール禁止)も、のどを潤しながらの展開です。

 

最初は一人10分ずつのプレゼン。まず私が、現在のテレビ環境をデータを使って説明し危機感を共有した上で、あやとりブログに掲載したシリーズ『テレビの未来』を凝縮してお話ししました。ちなみに参加者の皆さんには、全7回の『テレビの未来』をまとめたPDFをお配りしました。

 

つづいて境さんが、話題のドラマ『半沢直樹』について「半沢直樹の高視聴率にはネットの増幅力がすんげえ寄与したみたいだ」についてお話しし、志村一隆さんは、先日掲載したエントリーに沿って、今回のあやぶろナイトのためにそろえたデータを説明いただき、河尻亨一さんは、何と100枚以上のPDFを使い、Cannes Lionsをベースに、広告とコミュニティ、メディアについて猛烈な速さと勢いで熱く語ってくれました。

 

そしてトークセッションに入った訳ですが、途中、生のジャズ演奏が入る休憩を挟んで2時間に渡って語られた内容は膨大過ぎて書ききれません。おおざっぱな流れだけ記すと・・・

「半沢直樹とはなんだったのか、テレビ番組としてみられていたのか」

「違法サイトで見てませんか?全録機でテレビ環境は激変」

「10年後の視聴率はどうなってる?」

「10年後、リビングにテレビはあるのか」

「テレビの生き残りをかけたサービスデザインの可能性」

「コンテンツ業界は広告費に頼り過ぎている?」

「あながたテレビ局の経営者だったら」

 

はっきり言って過激でしたが、かなり充実した内容でした。参加できなかった方のために、何らかの形でお伝えできないか検討します。

 

面白かったのは、参加者の皆様の業態、世代、社内でのセクションにばらつきがあったことです。そのために、普段はあまり顔を合わすことのない組合せが実現しました。

 

あやとりブログや境さん主催のソーシャルテレビ推進会議などの場を通じて、テレビ以外の世界の方とお話しする機会が急に増えました。そうすると、テレビ関係者の間では暗黙の了解でタブーになっていることがあるのに気付きました。
例えばテレビ関係者の間では、何となくですが、「テレビに特に愛着はない」とか「テレビってなくなっても困らないよね」、「テレビ?あんまり関心ないからどうでもいいや」みたいな話はされないのです。外の人たちはなんの利害関係もないので「テレビ局の一つや二つなくなっても何にも困らない」と本気で平気で言います。
テレビの中の人たちには、そういう声は届きません。その時点でテレビの中と、外側のリアルの世界とは乖離してしまっているのです。
特に組織の中で上に行けば行く程、「やっぱりテレビの力はスゴイですよね」とか「テレビは永久に不滅です!」みたいな話ばかり聞かされます。これでは正しい現状認識はできません。ということは間違った危機意識しか持てなくなるのです。まずは適正な危機意識を組織として共有することが大切です(ホントに当たり前の話ですが、、、)。

 

ですから外の声を聞く機会は、実はとても貴重なんです。
今回は、気付いたら時間がおしていて、Q&Aのコーナーを設けることができませんでしたが、こうしたインタラクティブなやり取りを通じて、バラバラな認識が共有化されます。次回は必ず会場の皆様との会話を作ろうと思っております。

 

それにしても今回の登壇者4人の役回りは、計算した訳じゃありませんが絶妙にバランスがとれていました。
テレビの素人として、素朴に=遠慮なく突っ込み進行してくれる河尻さん、学者として冷徹に状況を把握して情け容赦なく事実を突きつける志村さん、テレビ人間である私以上にテレビを愛し、テレビに元気になってもらいたいと思っている一方で、テレビの外側の現実も熟知している境さん、テレビの現場も裏方も周辺事業も網羅的に経験していながら、テレビ以外に新しくて面白そうなものがあったらテレビをほっぽり出してしまう私、この座組はホントによくできていました。

 

とくに私にとって最高に面白かったのは、志村さんのそっけなさです。河尻さんが「志村さんにとってテレビって何ですか?」だったかな、そんな質問をした時、志村さん、しばらく黙って、「別にどうでもよくて、関心もないんですよね」みたいな答えをしたんですが、それを見ていて自分としては面白くて面白くて我慢できないくらいでした。わざと空気を読めないふりして、こういうことをスラッと言ってしまう志村さんは、はっきり言ってお茶目です。自分がなりたくてもどうしてもなれないツンデレのタイプです。

 

第1回のあやぶろナイトは、登壇者のがんばりと会場の皆様からのプレッシャーで、かなりハイレベルな内容になったと自負しています。
第1回というからには次回があるということですが、正直言ってハードル、高いです。
今回にも増して皆様のお役に立てるようなイベントを考えて行きますので、今回、ご参加されなかった皆様も、次回は是非おいでください。
とりあえずバタバタとご報告、及び、御礼としてエントリーを書きました。

 

 

 

氏家夏彦プロフィール
株式会社TBSメディア総合研究所 代表取締役社長
テクノロジーとソーシャルメディアによる破壊的イノベーションで、テレビが、メディアが、社会が変わろうとしています。その行く末をしっかり見極め、テレビの明るい未来を探っています。
1979年TBS入社。報道(カメラ、社会部、経済部、政治部等)・バラエティ番組・ワイドショー・管理部門を経て、放送外事業(インターネット・モバイル、VOD、CS放送、国内・海外コンテンツ販売、 商品化・通販、DVD制作販売、アニメ制作、映画製作)を担当した後、2010年現職。
Facebook、Twitter(natsu30)

 

 

 

 

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