テレビの未来⑤:メタデータ・プラットフォームの威力
■メタデータ・プラットフォームによるビジネスモデル
* メタデータのプラットフォーム化で新たなビジネスモデルが生まれる
各テレビ局がそれぞれ別の方法でメタデータを作成してしまうと、データを利用するためのツールやアプリは、局ごとに特化して作らなければならない。そうなると、利用する視聴者・ユーザーは、チャンネルを変えるたびに、別のツールを使わなければならないことになり、非常に不便で使いにくく、普及は望めない。
新聞のテレビ欄は、全局の全番組を一覧できるから便利なのと同様に、メタデータも、全局のデータが同じ仕様で作られ、同じツールやアプリで利用できれば、その価値ははるかに高まる。このように、全局のメタデータを同じように利用できる場を、プラットフォームという。これを実現するには、各キー局が足並みを揃え、テレビ局連合による共同体を形成しなければならない。
ハイブリッド・メタデータよるリッチ化と、メタデータ・プラットフォーム化で、提供されるメタデータの価値は極めて高いものとなり、テレビ局連合は、メタデータを利用する様々なプレーヤーに対し優位な立場に立つことができるようになる。またBtoBtoCで、データをベースにした様々なサービスを利用するユーザー・視聴者に対しても、強い影響力を持つようになる。
メタデータによる最も単純なマネタイズモデルは、例えば出演者の衣装や装飾品、セットに使われている家具などのデータを番組に付加し、テレビ局の通販システムを利用して販売するというものだ。しかしコストや労力と、予想される売上高を勘案すると、効率の良いマネタイズは期待できないだろう。
むしろメタデータ・プラットフォームの膨大なデータを外部に提供し、マネタイズのビジネスモデルは外のプレーヤーの創意工夫にゆだね、共同体は単にデータを販売するだけでなく、データ提供の対価として、売上の一部を回収するアフィリエイト・モデルを狙う方が効率的ではないだろうか。 例えば各種ECサイトでの利用、小売りのショップでの来店促進、購買促進、グルメサイトでの飲食店予約促進、トラベルサイトなどでのアクセス増加と宿・施設の予約促進などがある。これらのサイトでは、現在でも「○○テレビで取り上げられた商品、宿、施設です」という情報が、強力な販売促進になっている。テレビの持つ圧倒的なリーチ力を、CM以外でお金に換えられるチャンスだ。
この場合、新聞のテレビ欄や電子番組表に載せる程度の、軽い(ライトな)メタデータは無料で利用可能とする一方、番組で扱う商品名や、衣装のブランド、紹介する施設の名前や場所など、マネタイズに直結する重要な(ヘビーな)メタデータは有料とするなどの調整は必須だ。 ライトなメタデータを無料にし、インターネット上でAPIをオープンにする事で、多くの外部プレーヤーがテレビとメタデータを利用できるようになる。これによって、テレビに関わるビジネス全体を活性化するのだ。
様々なIT系企業やWeb系企業に、テレビ側では想像もつかないテレビを使った新たな楽しみ方、遊び方を創造してもらい、新たなビジネスモデルを開発してもらえば、テレビの価値自体が高まり、テレビ離れした視聴者・ユーザーを再びテレビに引き戻すことができる。こうしたオープンプラットフォームの考え方こそ、衰弱しつつあるテレビメディア再生のカギとなる。こうしてテレビが活性化すれば、最大の収入源であるテレビ広告の価値向上にもつながり、実はマネタイズ以上に、テレビにとって重要なメリットになる。
コメント
ワンセグ全番組タイムシフト視聴は視聴率を下げるのか検証してみた〜ガラポンTV視聴ログより
リアルタイムの放送をテレビで視聴する人が増えることは良いことです。 言うまでもなくこれは「視聴率が上がる」ことを意味します。 &nb…
この記事へのコメントはありません。