テレビの未来①…テレビは不便で時代遅れのサービスだ
「視聴者はユーザーとなった」というポストを以前書いた。この考え方をさらに進めると、「視聴者はユーザーとなり、テレビはサービスとなる」につながる。今のテレビ放送を“サービス”としてみると、ユーザーの目には「不便で時代遅れでダサいサービス」だと映る。テレビの未来を考える時に、この視点は決定的に重要になる。
上の一文は、本社であるTBSに提出した『テレビの未来はどこにあるのか』という提言の一部だ。この提言を執筆する過程で、取材やインタビューを重ね考察を深める程、テレビの未来は過去の延長線上には存在しないこと、そしてテレビの未来を明るいものにするためには、TBSというひとつの放送局だけでなくテレビ界全体が一気にジャンプする必要があることが見えてきた。
この提言をベースにしたポストを、『テレビの未来』シリーズとして“あやとりブログ”に公開する。公表が可能になったのは、壮大なテーマの提言執筆を依頼してくれたTBS本社の担当幹部がこの提言の本質を鋭く理解し、テレビ界全体が危機感を共有し、大胆な発想の転換をしなければならないことを敏感に感じ取ってくれたためだ。優れた人材が重要ポストにいてくれたことに感謝する。
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『提言 〜テレビの未来はどこにあるのか〜』の骨子は以下の通りだ。
テレビ局は、視聴者はユーザーになったことを念頭に置き、メディア企業からメディア・サービス企業に進化しなければならない。ユーザーファーストの理念のもと、全番組見逃し視聴サービスやメタデータ・プラットフォームなどの、これまでのテレビという概念を超える新サービスを打ち出し、それによって地上波テレビを再活性化させる。そして、インターネット企業を競争相手として、ユーザーに高いレベルのUX(ユーザーエクスペリエンス)を提供するために、サービスデザインという革新的アプローチで全体のサービスを精緻に結合する。さらに利益を内側に囲い込むのでなく、オープンプラットフォームによる共創という、これまでとは全く異なる発想で様々なプレーヤーを巻き込み、共栄していかなければならない。
(※太字は重要なキーワード)
これが提言のエッセンスだが、まずは、現状認識からスタートしよう。
「テレビの壁」の崩壊が始まっている
コンピュータとインターネット、それに新たなデバイスによるテクノロジー革命は、世界の在り方も変えてしまいつつある。
これまでの世界は、価値を生み出す源泉をできる限り内側に囲い込み、そのパワーで外側から利益を吸い上げるという形を基本としていた。それは国家も業界も企業も、そしてテレビも同じだった。しかしインターネットによって、内側と外側を分けていた壁は崩壊を始め、混沌としたものになってしまった。
コメント
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