● 下北沢のマサコとB&B(稲井英一郎)
下北沢のマサコ
この街に「マサコ」という有名なジャズ喫茶があった。当時シモキタには10軒以上のジャズ喫茶があったといわれたが、マサコはその中で群を抜いて有名で、1953年から営業する、知る人ぞ知る老舗だ。
小田急の線路沿いに少し歩いた住宅街の一角、門構えはあまり目立たない感じだが、マサコの店名を記した看板が遠くから読み取れるので初めて来店する人でも迷うことはあまりなかった。
店の中には確かJBLのでかいスピーカーがあり、何千枚だかのLPが棚に収納されており、選ばれたレコードが音量豊かに鳴らされる空間。
店で私語する客はあまりおらず、みんなステレオの奏でるジャズに聞き入っていた。店内は山小屋風とでもいえばよいのか。少し薄暗いのだが、間接照明が逆にいい雰囲気を演出しているように感じられたものだ。
そのマサコが2009年に閉店していたことを最近知った。
仕事が忙しく海外赴任の期間などもあり、ジャズ喫茶にはすっかり縁遠くなっていたため、その存在をすっかり忘れていたが、先日下北沢で、仕事に関係する「とある店」を訪ねていったときに、ふと思い出して久しぶりにマサコのコーヒーを飲もうと思ったのだ。
記憶をたどって住宅街の路地裏を歩いていっても、店があったはずのあたりは大きな商業ビルが建っている。道を間違えたかと思い、路地から路地へ渡り歩いたが見当たらない。さては地上げか何かで移転したのかと思い、その場でスマホを使って検索したらようやく2009年に閉店したことを知った。
下北沢経済新聞という地元密着の地域情報ニュースをインターネットで配信するメディアサービスがある。そこに閉店間際のオーナーを取材したとても興味深い記事がアップされている。
初代のオーナーであった奥田政子さん(故人)と共同経営者をつとめ、二代目オーナーとなった福島さんがインタビューに答えてマサコとシモキタの歴史について興味深いお話をされている。
開店したのは昭和28年というのだから、サンフランシスコ講話条約の翌年のことだ。映画「ALWAYS三丁目の夕日」の時代設定の5年前にあたる。
当時は喫茶店ブームが広がり、開業行為が最先端の起業であり一種のステイタスを誇っていたというから面白い。今で言えばIT起業だろうか。また同時に美人喫茶も流行っていて、マサコも美人喫茶と呼ばれていたことを初めて知った。
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