あやぶろ

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201410/5

老人の思い過ごしなら良いが

秋深まり神戸の少女殺人、御嶽山の噴火、強力台風の襲来、香港の直接民主義のデモ、中国・ロシアの動き等々数え上げればきりがない事件続きです。

報道関係者・番組担当者夫々苦労が絶えない事でしょう。

ひるおび・9時からNC9・報道ステイションと、テレビ報道をずっと見ています。(ドラマや他の番組は録画します。新聞も読みます)

 

現場の皆さんの苦労は苦労として、見ていて気になって仕方がないことがあります。

古舘さんが一番多いのですが大越さんも堀尾さんも中継現場の記者に呼びかける時に「その後発表はまだありませんか?」とか「会見はまだでしょうか」と聞くことが多い気がするのです。
中継先の記者の方も「まだは発表が無いので動きはありません」なんて言ってる。

これは視聴者からみるとテレビの記者は発表や会見を聞いて報告するのが仕事みたいではないですか?

事件でも外交問題であっても記者は自分で情報源を作り、朝廻り夜廻り・メールに電話フル動員して取材をしているはずなのに、自分または自局の取材の成果を権威をもって報道しないのは情けない気がします。
会見待ちなら記者は要らない。遠距離操作カメラで十分。

もう一つ気になるのは特に神戸の少女の事件ですが、他の少女事件でも、情報を警察や検察が小出しにしている、そして発表されるまではニュースが無い、ように感じます。
ガサ入れしてから4日ぐらい経ってから一斉に少女のランドセルが有った、とか10日ぐらい経ってからナイフが出て来てDNAが少女に一致したなどと言っている。
4日もかけて畳板・天井板・バスタブの下、床の下の地面・あらゆる所を徹底的に捜索して、ナイフやらランドセルやら靴やら、そんな大事なものを警察が見逃してくるはずがないではないですか。

捜査側は「犯人しか知りえない事実」をたくさん取っておきたいから発見しても発表なんかしませんよ。
昔なら何処かが特ダネで書いて当局は烈火のように怒るけれども、事実は否定出来ない、というコースをたどったと思いますね。

今の状態は「余計な事」は書かれないから当面の捜査には便利でしょうが、長い目で見ればきっと冤罪を生み出すと思います。
捜査側に都合のいいことしか出てこない、捜査当局とメディアとの力関係が傾いているのではないでしょうか。

 

(ただ僕が家に居て知る範囲で書いているから、ランドセルにしてもナイフにしてもどこかの社が抜いて、みんな後追いしたのかもしれませんが。

それでもナイフとかランドセルとか大事なものが逮捕からこんなに日が立って出てくるのは情けないではないですか)

 

もっと効率よく働いてメディアの権威を取り戻してください。
戦前のメディアがたどった道を歩まないためにも。

 

元TBSテレビ特別顧問
2013年4月からTBSホールディングス顧問
TBSメディア総合研究所 上級フェロー
コンテンツのアジア展開に取り組み、BEAJ顧問。
「これからは日本経済のために尽くす」
骨髄異形成症候群で闘病中。

 

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