あやぶろ

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20144/27

テレビの未来がますます鮮明に・・・最近の統計データから

このところ立て続けに発表された統計データが、かなりメディア周りのドラスティックな変化をつたえています。いくつかの解説記事も出ているようですが、あやとりブログとしてもこれは一回、整理しといた方がいいと思い書いてみます。
ちょっと前ですが、2月に出た電通の『情報メディア白書』から。 http://dii.dentsu.jp/books/infomedia/2014.html   メディア別の接触率の推移です。

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  まず下がっているメディアですが、テレビは徐々に下がってはいるものの、他と比べると圧倒的に高く見えます。 気がかりなのは新聞です。この7年で約13ポイント下がっています。下落率は3割以上、特に2009年からは急激に下がっていて、前年比が2010年は▲8%、続いて、▲5%、▲7%、昨年は▲11%と、たった1年で1割以上も減ってしまいました。このペースで減っていくと東京オリンピックの2020年には10%程度になってしまうかもしれません。
増えているのはPCによるインターネットと、モバイルによるインターネット、さらにテレビの録画視聴です。 インターネットの利用は2011年にモバイルからの接触がPCを逆転し、順調に増加しています。後で述べるスマホの普及も大きく影響していると思われます。
『情報メディア白書』のデータだけを見ると、インターネットは増えてはきたが、テレビと比べるとまだまだという印象を受けます。
しかし別の統計データを見ると、そうでもありません 総務省の平成25年版情報通信白書です。

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2012年末時点のインターネット利用者数は9652万人で普及率は79.5%と、ほぼ8割に及んでいます。テレビの普及率は内閣府の消費動向調査によりますと2013年3月で99.3%ですから、それよりは低いとはいえ、ほとんどの人が利用しているといっていいでしょう。   また同じ総務省の調査で世代別のインターネット利用率を見てみます。

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  13〜19歳、20代、30代、40代はほぼ全員が利用しています。1年間でほとんど増減がありません。 ちょっと驚いたのは、70代が48.7%と、半数近くが利用しており、80歳以上でも利用率が1年で8割も増えて4人に1人が利用している点です。   また、後でお見せする総務省の直近の調査によりますと、メディア別の平日の行為者率(調査期間中にそのメディアを利用した人の割合)では、10代、20代、30代は既にインターネットがテレビを上回っています。   10年後には60代は70代になり、70代は80歳以上になるのですから、このままいくと、そう遠くないうちにインターネットはテレビ並みに普及するでしょう。 しかしその頃には、テレビ局がプラットフォームで提供するコンテンツにインターネットで接触する率が、今よりはるかに増えているでしょう。 『情報メディア白書』には有名な「日本の広告費」というデータも掲載されていますので、一応、恒例のグラフを作りました。

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テレビは底を打った感があるように見えますが、だからといって再びしっかりした増加傾向に転ずるとは思えません。
インターネットは、今年は動画広告元年と言われているように、さらに増加する要因があります。むしろテレビはこのインターネットの動画広告にどれだけ食い込むかが勝負になって来るでしょう。 以前は、動画広告を出そうにも広告自体が不足している状態でした。しかし今はそれが逆転し、動画広告の出し口が不足している状態です。
ここでテレビ局が足並みを揃え、地上波放送のタイム&プレイスシフト視聴動画プラットフォーム、つまり全局全番組見逃し視聴サービスを構築すれば、動画広告は一気に集中し、インターネット広告市場でもテレビ局のシェアが急激に高まります。
ついでにこれも恒例の、在京民放キー局5社の年度平均視聴率合計の変化のグラフです。

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視聴率は、2011年度に下げ止まったかと思われましたが、翌年度も昨年度も下落は続いています。   次はこのデータをちょっといじって、2005年度を1とした変化率です。

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  この8年間の下落率は▲15%を越えています。HUTは2006年からのデータですが、下落率が少ないのは、好調なBS放送のせいです。 『情報メディア白書』に出ていた民放キー局系BS放送局の売上と利益の推移のグラフです。

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地上波とは打って変わっての好調ぶりです。特にこの3年間は、2010年度から前年比120%、127%、117%と急上昇しています。まだ地上波放送の広告収入の7%以下ですが、利益面では連結決算に貢献するようになっています。     では最近発表された統計データを紹介します。 4月15日、総務省の『情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査』の速報が出ました。このデータにはショッキングな点が多々ありました。 http://www.soumu.go.jp/iicp/chousakenkyu/data/research/survey/telecom/2014/h25mediariyou_1sokuhou.pdf
まずテレビについて、リアルタイム視聴時間(平日)が2012年から2013年の1年間で、9%も減ってしまったのです。

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  しかも視聴時間が減ったのは、これまでテレビをよく見てくれていた年配世代なのです。 むしろ10代、20代、30代は視聴時間の減少が止まったようです。 一方、40代は1年前に比べ▲23%、50代が▲19%と、テレビ離れが年齢層の上の方まで広がってきました。   次に注目されるのは、ソーシャルメディアの利用率です。

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  ソーシャルメディアの利用率は全体で遂に過半数を超え57%に達しました。特に20代は91%が利用しています。次に多いのが30代の80%、次が10代の76%です。 年配層は、増加率が高く40代は+63%の60%、50代も+78%の36%です。   次はメディア別の行為者率です。行為者率とは調査期間中にそのメディアを利用した人の割合です。利用率と言ってもいいでしょう。

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  2013年のデータですが、全体ではテレビがネットを上回っていますが、世代別に見ると、10代、20代、30代ではテレビよりネットの方が多くなっています。特にネットの20代は91%、30代は89%という高さですが、60代は35%しか利用していません。
新聞についても、ちょっとショッキングなデータでしたので入れてみました。10代、20代は10%以下、10代で新聞を読むという人はわずか3.6%しかいません。年をとるに従って、新聞を読む人は増えていくのかもしれませんが、若年層の新聞離れは、テレビ離れの比ではないようです。

  最後は先週、公表されたばかりのデータです。野村総研がテレビのリアルタイム視聴と録画視聴をジャンル別に調査しました。 http://www.nri.com/ja-JP/jp/news/2014/140422.aspx   元のグラフは、「録画を含めた視聴」はリアルタイム視聴の何倍あるのか、というものですが、ちょっとわかりにくいので、「ジャンル別録画視聴の割合」にデータを変換してみました。

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  全体の録画視聴の割合(テレビのリアルタイム視聴と録画視聴の合計で、録画視聴を割ったもの)は17%です。あまり驚くような数字ではないのですが、ジャンル別には大きな差が出ています。 録画視聴割合の最も高いのは海外ドラマです。今、地上波で放送されている海外ドラマはほとんどが韓流ドラマですから、韓国ドラマは半分が録画視聴されている訳です。
次に多いのがアニメの43%、映画の43%、日本ドラマの39%と続きます。 録画視聴率を通常の視聴率に加算したらどうかという動きが話題になっていますが、このデータを元に考えれば、ドラマの場合は、視聴率が1.6倍になります。
視聴率10%のドラマは16%、15%のドラマは24%になる訳ですから、かなりの効果がありそうです。 野村総研は、BS放送の調査もしています。

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  BS放送では、全体の50%が録画視聴となっています。 ちょっと驚きの数字です。特に海外ドラマとアニメは7割以上が録画視聴、映画も65%です。リアルタイム視聴は3割程しかないという、ショッキングな結果になっています。     今回は、最近の統計データで目についたところをご紹介しました。 そのデータ分析を元にメディアの未来を語ることはしません。 ただ、1年以上前からずっとこのあやとりブログで何度も主張してきたテレビの未来は、新たなデータが出るたびに、予想通りの方向に向かっているのが確認できます。 テレビ局が次にやらなければならないことは、すでに明確になっています。

氏家夏彦プロフィール
「あやぶろ」の編集長です。
テクノロジーとソーシャルメディアによる破壊的イノベーションで、テレビが、メディアが、社会が変わろうとしています。その未来をしっかり見極め、テレビが生き残る道を探っています。
1979年テレビ局入社。報道(カメラ、社会部、経済部、政治部、夕方ニュース副編集長)、バラエティ番組、情報番組のディレクター、プロデューサー、管理部門、経営企画局長、コンテンツ事業局長(インターネット・モバイル、VOD、CS放送、国内・海外コンテンツ販売、商品化・通販、DVD制作販売、アニメ制作、映画製作)、テレビ局系メディア総合研究所代表取締役社長を経て
2014年6月現職(テレビ局系関連企業2社の社長)
放送批評懇談会機関誌「GALAC」編集委員

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