テレビもネットも伝送路のひとつに過ぎない・・・のかな?
あやとりブログの読者の皆さんならとうにご存知のことだと思いますが、年明けから立て続けに、テレビの配信サービスに関するニュースが発表されました。
まず仕事始めの日、1月6日に飛び込んできたのが「もっとTVで民放5社の番組が月額945円で見放題に」というニュース。動画配信サービスもっとTVで、これまではドラマ一本300円程度で購入するものだったのを、毎月945円を支払えば何本でも視聴できる、というもの。しかも、どのテレビ局の番組でも観ることができます。画期的だと思いました。Huluの定額制は家庭でのビデオ視聴に大変革をもたらしましたが、もっとTVも同じ手法のサービスになるわけです。
ただし、このパックで視聴できるドラマは、正直あまり多くありません。いま放送中のものはほとんどないですね。あと現時点ではiOSで視聴できないのもイタい。(これは時間の問題のようです)それでも、一話ごとに300円払うよりずっといいですが。各局が、放送中のドラマをラインナップに加えてくれれば、かなり美味しそうなサービスになってくるのですが、現状はそうではない。まあ、ぜひ最新のドラマも加えてもらいたいものです。
さてそれから一週間後、1月12日、日曜日にはさらに驚くべきニュースが伝わってきました。
「日テレ、ドラマ『戦力外捜査官』を放送終了後から一週間無料配信」
もっとTVの定額制のさらに先を行く、無料配信!
去年、ぼくはこのあやとりブログで「ドラマの見逃し視聴、いっそ無料にしてみては?」という記事を書きました。“あのドラマ、面白いらしいよ”という評判を聞いて自分も見たいと思った時に、オンデマンドサービスで1話300円、というハードルを設けるより、無料にして面白さを堪能してもらった方が、次回から放送時に見る人が増えるんじゃないかと。
実際、そのあと『半沢直樹』の面白さが話題になった時に、どうやら違法サービスで過去の放送回を見て追いついた人は多かったようなのです。違法で見られるなら公式に見られるようにした方がいいんじゃないかと。
日テレのサービスは「日テレいつでもどこでもキャンペーン」と掲げて、他のドラマやバラエティ番組も次々に無料配信していくそうです。3月までのトライアルらしいのですが、いい影響が出たねとなれば、定番化していくのでしょう。
放送後の無料配信は、実は他の局でもこれまでいろんな試みがありました。テレビ朝日の配信はけっこう進んだ試みをやっていて、ネット上でのオリジナル番組を配信していたりします。そして、金曜真夜中3時の『キラキラ!ガーリーママ』という番組はずっと放送後の無料配信を続けています。再生回数も毎回数万回に達するそうです。子育て中のママ向けの番組なので、忙しい合間にいつでも見れるのはうれしいのでしょうね。
こういうニッチな番組であれ、日テレがはじめたようなゴールデンの番組であれ、無料配信にはいろんな効果があると思います。ドラマにあとから追いつけるというのはそのひとつですが、ネット中心でメディアに接触している若い人たちとの接点が増えるのも重要な効果だと思います。
「あのドラマ面白いらしいよ」という評判は、リアルな口コミでも当然行われますが、やはりいまはソーシャル上でのやり取りが大きな血流となります。番組について噂に上って見てみようかなと思った時、すぐに見ることができる上に、URLをシェアできれば、すかさず見てもらえる可能性が高まります。逆に言うと、噂に上った時には見てみたいと思ったとしても、すかさず何かを提示できないとすぐに別の話題がやって来て、忘れ去られてしまいます。次から次へ、情報が洪水のようにやって来る中で、興味の持続はほとんど無理なのです。無料配信の効果は、こうした情報の洪水の中で、すかさず見せることができる点にあると思います。
それからさらに深堀りすると、あやとりブログの主宰者、氏家さんが前々からおっしゃっている、「テレビはメディア・サービス企業へ進化する」という考え方が出てきます。メディア・サービス企業ととらえると、無料配信は当然やった方がいいね、となるわけです。もちろんそれをどうマネタイズするかも考えないといけないでしょうけど。でもとにかく、視聴者、ではなくユーザーが便利だと思う手法を形にする、それがメディア・サービス企業だし、だったらもはやテレビもネットもないよね、と考えないといけない。
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