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20139/25

ローカル局は、視聴率より反響率を高めるべし?

前回はローカル局について、佐々木倫子さんの漫画『チャンネルはそのまま!』を教科書に書きました。ローカル局について考えていると、故郷に恩返しするような気持ちになります。漠然とテレビメディア全体のことを考えるよりむしろ、ずっと大事なことのような気がします。より本質的というか。

 

さて『チャンネルはそのまま!』は前回3巻までご紹介しました。そのあと、丁寧に読み進めてついに最後の6巻までたどり着きました。正直言って4巻5巻では3巻にあったテーマ性が少し後退。でも基本的にコメディとして面白いのでするする読み進みますが。そして6巻で一気に、問題意識が大浮上します。視聴率至上主義のひぐまテレビとの対決もクライマックスです。

 

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“ここが大事!”と書きたい場面がたくさんあります。でも全部書いちゃうとネタバレになっちゃうので、ほんの2つ3つだけにしますね。いやそれでも十分ネタバレですが。

主人公が働く北海道☆テレビ(HHTV)を、ひぐまテレビはなぜか必要以上に目の敵にします。ただでさえ視聴率的に圧倒されてしまう存在である上に、ことごとく嫌がらせしてきます。地元のイベントに取材しようとするといつも先手を打っていて先に放送日をとられてしまい、☆テレビは二番煎じの中継になってしまう。

 

ところが、あるイベントの中継を、ひぐまテレビより先にやってほしい、ひぐまテレビには黙っておくから、と商店街の人びとが申し出てきました。なぜでしょう。商店街の人びとが言うのです。「ひぐまテレビの“放送してやる”って態度、もううんざりなんだよ」

 

それに比べて、☆テレビは親身になって番組をやってくれるから、信頼できるのだそうです。信頼。前回につづいてまた登場しました。ローカル局がキー局の支店ではなく地域メディアであるための必須ポイントです。この放送局はうちの会社のために親身になってくれる。この商店街のために骨を折ってくれる。この街のためになるようにと放送してくれる。だから信頼される。

 

前回でも登場した某ローカル局の旧友は、信頼されるからCM出稿もしてもらえるのだと言ってました。何年、何十年もかけて信頼関係を築くからCMを出そうと言ってもらえる。カンタンに築ける関係ではないんだよなあ、と言うのです。

 

もうひとつ取りあげたい箇所があります。ひぐまテレビは視聴率では圧倒的に優位に立っているのに、☆テレビの存在にイライラしています。その理由が明かされるのです。どうしてもかなわないポイントがある。“反響率”です。

 

 

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