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20139/19

スマートウォッチは低機能であるべし

~ダイレクト操作という視点で考えるウェアラブルデバイス~

 

 

9月4日、ベルリンで開催されていたエレクトロニクスショー「IFA」にて、サムスンからスマートウォッチ「Galaxy Gear」が発表されました。
時を同じくして、クアルコムからも「Toq」が発表されました。
これらに先駆けてソニーは6月に「SmartWatch 2」を発表していますし、以前からAppleが「iWatch」を開発中であるという噂もあります。
ウェアラブルデバイス、とりわけスマートウォッチの分野がホットであることは、誰もが疑わないところでしょう。

 

「スマートウォッチ」なるもののイメージは漠然としています。なんとなくみんなが抱いているイメージは「腕につけるスマートフォンでしょ」というところではないでしょうか。
しかし、ソニー、サムスン、クアルコムから発表されたスマートウォッチはいずれも、スマートフォンとの連動を前提としています。また、機能も、着信メールの確認など、ある程度の機能に限定されています。

 

この点について
「スマートフォンなしで使えたらもっといいのに」
「これしか機能ないんだー」
といった意見をちらほら目にします。

 

本命と目されるAppleのiWatchが、曲げられる液晶画面を持つ、まさに「腕に巻き付けるスマートフォン」という先行イメージで語られているため、それとのギャップにガッカリするのもわからなくありません。

 

しかし、「本当にそうなのかな?」と私は思っています。
スマートウォッチは、そういう理想像で語るべきものなのか、と。

 

 

 

スマートフォンのUIが抱える問題

 

昔から、腕時計型のデバイスは、たまに思い出したように登場しては消えていきました。
しかし、いまスマートウォッチ(あるいは、もっと広く「ウェアラブルデバイス」)が注目されるようになった理由は、過去の腕時計型デバイスとは根本的に異なるのではないかと思います。

 

なぜいまウェアラブルデバイスが必要とされているか。それは、スマートフォンが抱えるUIの課題を解決するためである、というのが私の考えです。

 

現在のスマートフォンのUIは、iPhoneによって基本形が形作られました。
iPhoneのUIが持つ概念的な特徴としては、以下のような点が挙げられます。

 

・ハードウェアのボタン類は極力少なく
・必要な操作要素は、必要に応じて画面に表示される
・すべての機能は「アプリ」という形を通して提供される

 

このような概念で一貫して設計されたiPhoneのUIは、ガラケーのUIなどと比べ、格段に見通しのよいものになりました。
アプリがフラットに並べられたホーム画面から、必要なアプリを選ぶ。アプリ画面上で、シンプルに絞り込まれた選択肢から必要なものを選び、ドリルダウンしていく。
たくさんのボタンの機能をいちいち覚えなくても、画面を通して対話するように操作していくことで、やりたいことができてしまう、優れたUI。

 

しかしこのようなUI体系は、学習のハードルが低く、推測で操作しやすいという利点を持つ反面、ある欠点を持っているともいえます。
それは、「何かをするには必ずアプリを立ち上げなければいけない」ということ、つまり、「それ」を実行するモードに切り替えないといけない、ということです。

 

 

 

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