●せんぱい日記【番外編】大阪水上バスで思った「日本アパッチ族」の凄さ、面白さ(前川英樹)
大阪水上バス “アクアmini” 案内図
「日本アパッチ族」大阪城界隈地図
主人公木田福一がまだ人間だったとき、「失業罪」でこの廃墟に「追放」されるところから物語は始まる。失業罪!?
小松左京はこう書いている。
「(憲法)改正が決まると、第九条だけでなく、烏を鷺と言いくるめて、ついでのカマに、旧憲法の基本的人権を、新憲法においては秩序の名のもとに大幅に制限した。新しい時代なのだ―――とエライさんは言った。・・・旧憲法の『権利』という言葉の八十パーセントが『義務』と変わったおかげで、失業は刑法上の罪となった。」
「日本アパッチ族は」1964年に書かれている。近未来小説ということを考えれば、舞台は50年後くらいの日本ということになるだろう。つまり、2014年頃、ほとんど<今>だ。くり返して言うが、これは間違いなく傑作である。それはSFの先駆的作品としてだけではなく、戦後文学の特筆すべき作品だと思う。「まえがき」にこうある。
『こうして、私は「アパッチ」の物語を書こうと思い立った。それはもはやあの屑鉄泥棒のことではなく、無秩序なエネルギーに満ちた、 「廃墟」そのものの物語である。同時にそれは小奇麗に整理された今日の廃墟の姿ではなく、廃墟自身のもう一つの未来、もう一つの 可能性なのかもしれない。―――この荒唐無稽な、架空の物語は、私の中になおも頑強に生きつづけている「戦後」なのである。』(下線は原文では傍点、以下同じ)
私たちが失ったのは、その「もう一つの未来、もう一つの可能性」としての「戦後」なのではあるまいか。そして、その代わりに手に入れたのが「フクシマ」だとしたら・・・。戦後史の再点検はこうして始まるべきだろう。
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