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20136/6

● 番組制作の運用面からみたNHK技研公開(稲井英一郎)

ただし、去年の流れを引き継いだハイブリッドキャストの進化系モデルも種々、当然展示してあり、その中には「同期型アプリ」を活用したモデルもあった。

 

番組「おかあさんといっしょ」の似顔絵描きコーナーでは、手元のタブレットで自分も似顔絵描きに挑戦できるものや、英会話番組「リトル・チャロ」では英会話のセリフにあわせて英語がマンガの吹き出しのように画面に表示されるものだ。
ただ、最新のセカンドスクリーン同期技術を使ってやる新時代のサービスというわけではない。

 

英語の字幕表示などは、たとえば移民国家であるアメリカのテレビ放送では、英会話能力の低い移民に配慮してアナログ時代から、俳優のセリフに合せて会話内容が字幕(サブタイトル)で放送画面に簡単に出せるようになっている。
したがってサービスのコンセプトは新しいものではないだろうが、便利で現実的なサービスとしては広く受け容れられる気がする。

 

一方、民放から出展していたハイブリッドキャストでは、日本テレビやフジテレビのほかに、TBSの「カウントダウンTVコネクト」と「おまかせニュース」、「セカンドスクリーン連動CM」、それにWOWOWの「ザ・プライムショーの進化形」などが、やはり氏家さんが指摘されたように使い勝手がよさそうで目を引いた。

 

このうち「カウントダウンTVコネクト」は自分のカラオケ採点ができるというゲーム要素の高いアプリだ。
一方「ザ・プライムショーの進化形」は視聴者同士の感情をシェアする仕組みをもったもので、番組ファンのコミュニティ作りを狙ったものだろう。

 

これに対して「おまかせニュース」と「セカンドスクリーン連動CM」は将来の民放テレビ局のビジネスモデルになる可能性を秘めているところが注目された。

 

「おまかせニュース」は、自分が視聴したニュースの分野やテーマがデータとして蓄積されていくと、その視聴者(この場合はタブレットユーザー)が嗜好すると思われるニュース・情報を推測してリコメンドする機能をもったもので、テレビ広告とは別にタブレットを使ってテレビ局がターゲット広告を打てるようになるかもしれないものだ。

 

「セカンドスクリーン連動CM」は、CM自体をゲームコンテンツ化して付加価値をあげるように設計したものであり、テレビの広告収入自体のカロリーアップを狙ったものとなっている。

 

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