「ドラマ2クール運動」を起こします…番組はファンを育てていく時代ですから
それから、この頃は海外番販なんてことも大事になってますね。ところが、日本のドラマは10〜13話でおしまい。海外でのドラマ販売は数十話がひとつになってないと売りにくいそうです。韓国ドラマなんて50話ぐらいがワンパッケージだったりしますよね。だったらせめて20話以上にした方がいい。そうすると、1クールより2クールの方が海外で売りやすいことになります。
もう少し大げさな話に持っていきますと、テレビ局は刺激的な番組を次から次に送りだすのではなく、“育てる”考え方が必要になっているのではないでしょうか。番組を育てる。そしてそれを愛してくれるファンを育てる。短期的にプロモーションやって網を投げるように視聴者をばーっと捕らえるのではなく、ホントに愛してくれるファンと言える人たちと交流しながらていねいに育てていく。
もともと、テレビにはそういう側面があったのではないでしょうか。『渡る世間は鬼ばかり』なんてまさしくそういう例だと思います。一年間単位で放送するからファンが根づくのです。視聴率も安定して望めます。1クールではあんなに人気ドラマにはならなかったでしょう。テレビにはドカン!バーン!と派手な要素は要らないから落ち着いて安心して観たいよ、というニーズがそもそもあるのです。
『最高の離婚』も『とんび』も、たまたまですが普通の人びとの普通の家族の、あるいは恋愛の物語です。そういう感覚がいま馴染みますよね。一年前の『最後から二番目の恋』もぼくは大好きになったドラマですが、主人公がバブル世代のドラマプロデューサーで鎌倉に引越してきた女性、というのは象徴的な気がします。「もう疲れたよ」とテレビ自身がつぶやいてるみたいです。「なんかもっと普通な感じでいいわよ。そうなのよ」ドラマがそういうメッセージを発していました。
そうなんですよ。等身大の感覚のドラマをじわ〜っと半年くらいかけてじっくり見せる。その方がいい時代だと思います。それがしっくりくる世の中になってきています。新規性のある企画をわあああーっと1クール流して視聴率とるんだああっと勇んでもね、もう無理ですから。もっと自然体で行きましょうよ。
だから、2クール。ゆる〜く行きましょう。少なくとも、例えばこの一年で気に入った『最後から二番目の恋』『運命の人』『鍵のかかった部屋』『リーガルハイ』『ATARU』『ゴーイングマイホーム』なんてのがもっと続いたらぼくは観るなあ。これ、テレビ業界がせーのでやらないとうまくいきません。皆さんで示し合わせて、ぜひ、やってください!お願いします!
境 治 プロフィール
フリーランスのコピーライターとして長年活動したのち、なぜか映像製作会社ロボット経営企画室長となり、いまは広告代理店ビデオプロモーション企画推進部長。2011年7月に『テレビは生き残れるのか』を出版。
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コメント
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