あやぶろ/OLD

テレビの中の人による唯一のテレビ論、メディア論ブログ

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20123/19

●メディアはコミュニティになる。コンテンツはコミュニティになる(境治)

メディアとはコミュニティなんだ、と最近多くの人たちが言っています。そうなのだと思います。そしてテレビは(地上波テレビは、ですけど)日本という名の大きなコミュニティのためのメディアなのです。テレビとはお茶の間で家族をつなげたという論がよく語られますが、それだけでなく日本という大きな共同体を形成したのがテレビなのです。
ところがもはや、日本というくくり方だけではすべてが済まなくなった。そこへネットが登場し、ソーシャルメディアの波がやって来て、マスメディアでは対応できなかったコミュニティ形成がはじまっている、ということだと思います。

 
そんな中で”ソーシャルテレビ”の効用は大きく分けて二つあると考えます。ひとつは、大きなコミュニティ形成。大きなスポーツイベントや誰もが見る価値がありそうなエンタテイメントを、より大きく振幅させるために。視聴率を高めるまではできないにしても、その放送をリアルタイムで視聴する高揚感を増幅させるために、ソーシャルテレビは有効となるでしょう。これは実際にワールドカップの予選などですでに見られる現象です。
もうひとつは、小さなコミュニティを形成するための装置としてのソーシャルテレビです。視聴率はさほどでもない番組でも、ソーシャルメディアの力を借りることでしっかりとファンを育成していく。心から愛してくれる人たちの心をつかみ続けることで、その番組を息の長いものにしていけるかもしれないのです。これはアニメ番組で顕著に見られる現象です。
 
ぼくは時々、”境塾”と名づけた勉強会のような飲み会のような催しをやっています。先日はソーシャルテレビ用の2つのアプリ、ニフティの”みるぞう”、VOYAGE GROUPの”tuneTV”をそれぞれ開発した方々とちょっとした分析をして発表する、というイベントをやりました。視聴率の動きと、各番組でのTwitterの盛り上りを重ね合わせてみる、というものです。それでよくわかったのですが、夜中の、視聴率的には高いと言えないアニメ番組でも、Twitterではものすごく盛り上がっているものがあります。これこそコミュニティです。番組コンテンツがコミュニティとなっているのですね。

 

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