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20138/22

コスモポリタン(志村一隆)

日本人全員がバイリンだったらカッコいい

 

英語ができてアジア人の友人がたくさんいる人が増えれば、もっとリアルで現実的な議論も増える。
安倍政権が2014年度から「スーパーグローバルハイスクール(SGH)を100校指定し20-30億円予算で、英語教育を始めるという記事が出ていた。1学年120人として100校で12,000人。いま10代前半は毎学年120万人人いる。1万人に1人じゃ少ない。もっとやって欲しい。予算100倍に増やして2000-3000億円。

それを10年続ければ日本人の若者全員バイリンガルになる。カッコいい。
バイリンになれば海外に友達増えるし、自分で海外の情報を得て、自分で考えることができる。
そんな世の中、もし日本人全員がバイリンになれば、中韓へのヒステリックな言動は無くなるだろう。それに、抽象的な「国家」中心で考える議論も消えていくはずだ。
16世紀大航海時代に世界各地に旅した船乗りたちは、「えっ。本に書いてあるのと違うじゃん」と思ったという。(この記事参照)自分もアメリカで「えっ。新聞に書いてあるのと全然違うじゃん」ってことがたくさんある。
昔読んだ塩野七生氏の「海の都の物語 –ヴェネツィア共和国の一千年 」に、ヴェネツィア人は40歳まで海外でビジネスして、そのあと国内で政治職につく、みたいなことが書いてあって、とても印象に残っている。
政治が専門職としてあるのではなく、リアルな経験の上で営まれる感じが、この本を読んだとき爽快だった。

 

 

知の民主化時代における国家と自分の関係

 

我々は16世紀よりももっと早いスピードで知識が生み出される時代に生きている。IDCによれば、2012年世界のデータ量は2.7ZB(ゼタバイト=10億テラバイト。家の1テラハードディスクは約半年分テレビ番組を録画するといっぱいになる)。データ量は大体2年で倍になる。
そんな情報をもとに生み出される知識や意見をひとつ(国家)に集約するには無理がある。都市国家みたいに小さくなるか、いまの体制のまま、その機能をどんどん緩めていくしかない。
日本と中韓は仲良くできないという意見がある。国家同士はそうかもしれない。そして、国家が永続に続くと考えるなら、それはそうだろう。
けれど、現実はどうか。国家=人間じゃないし、考えてみれば、国として中韓と仲良くするとかしないとか、リアルな日常や友人にどんだけ関係があるんだ。
まして、ヒステリックな言動に惑わされ、アンチ中韓な感情を持つことほどアホらしいことはない。人生の可能性を殺してる。
と、そんなことを考えていたら、“チェ”池田敬二氏からメールが来た。ヤン・ヨンヒ監督がWOWOWのドキュメンタリー「映画で国境を超える日」で、「国境は単なるつなぎ目」「普遍的な作品は簡単に国境を超える」ということを言っていた、と教えてくれた。
じゃあ普遍的なものってなんなのか?池田さんによると、「家族じゃないか」と言う。
国家目線じゃなくて「かぞく」目線で海外のことを考えたほうがいいんじゃないだろうか。
国境は無くならないかもしれない。しかし、バイリンな世代が出て来る頃、事実上の境界は無くなるんじゃないか。そっちのほうが便利だし。

 

 

オマケ

 

半藤&宮崎対談は、文芸春秋8月号にも収録されているし、この8月に文春ジブリ文庫から「半藤一利と宮崎駿の腰抜け愛国談義」も発売されてる)

 

スクリーンショット 2013-08-22 13.09.39

 

チェジュ島(済州島)で購入。激辛かっぱえびせん。意外とクセになる。商品は国境を超えている。

 

 

志村一隆(シムラカズタカ)プロフィール
1991年早稲田大学卒業、第1期生としてWOWOWに入社。2001年モバイルコミュニティを広告ビジネスで運営するケータイWOWOWを設立、代表取 締役就任、業界の先駆けとなる。2007年より情報通信総合研究所で、メディア、インターネットの海外動向の研究に従事。2000年エモリー大学で MBA、2005年高知工科大学で博士号
『明日のテレビ-チャンネルが消える日-(朝日新書)』、『ネットテレビの衝撃(東洋経済新報社)』が絶賛発売中。ツイッターは zutaka
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