のめりこませる技術
ドーパミン - のめりこませる科学 —
本のなかでいちばん面白かったのは「ドーパミン」の研究を紹介するところ。ドーパミンは快楽、モチベーションに関連して放出される脳内物質。
<ドーパミンが放出されてる> → <モチベーションが上がってる=のめりこんでる状態>
だから、
<ドーパミンがどんなときに放出されるのか検証> → <人間をどうしたらのめりこませられるのか?解明できる>
という。
スイスの神経科学者ウルフラム・シュルツ(Wolfram Schultz)氏が行った「サルにジュースをあげる実験」を引用してみよう。(356頁)
①ジュースをサルに与えるときに「ピー」と音を鳴らす。
②すると、「ピー」という音を聞いたときに大量のドーパミンが放出されるようになる。(ジュースを飲むときではない)
③ところが、慣れてくると、次第に「ピー」が鳴ってもドーパミンがまったく出なくなってしまう。
この実験でわかったのは、
a) ドーパミンは、「ジュース」そのものには反応せず、「音」に反応している。
b) 100%ジュースが貰えるとわかると、ドーパミンは放出されない。音が鳴ってもジュースが来ない、そんな状態を作ると、またドーパミンは「音」に反応し始める。
ドーパミンが放出される=のめりこむ状態と考えると、サルは「ジュース」自体の価値じゃなくて、「ジュース」が飲めるかどうかの「期待(文中より)」にひきこまれてる。
そして、「その期待値が半々のときにいちばん激しくドーパミンが放出される(369頁)」という。
「報酬があるから、ドーパミンが放出されるわけではないのです。“不確実性”こそが放出を促すのです。」 369頁 ポール・ハワード=ジョーンズ博士 (参考:氏のスライド YouTube )
不確実性。そう。獲物を探しに狩りに出る。上手く見つかるかは、わからない。ただ、食料は必要だ。だから、狩りには行かなきゃ。ドーパミンは、面倒だけど狩りに出なきゃっていう動機に関係してる。
「ゴールを獲得することではなくて、ゴールを探す行動こそ、ドーパミン反応を促す」(365頁)
とにかくまず「行動」せねば「ゴール」が得られないってことをドーパミンが動物に後押する。
要は、「ゴール」設定に加えて、「行動」を促す仕組み(「不確実性」を組み込もう)を入れると、人間をうまく動機付けられるってことだろう。(この仕組みをゲーミフィケーションと呼ぶ。JB Pressに書いた記事を参照。)
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