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20131/26

第2回 ネットワークテレビ局受難のCES2013!?

スクリーンショット 2014-09-22 7.43.45ces2013 009

さて、CES2013報告の2回目である。CESでは見本市会場と並行して、色々なメーカーの発表会やカンファレンスが、ラスベガス中のホテルで開かれている。無料のシャトルバスは出ているとはいえ、移動や時間割作りに四苦八苦である。私も虎の子のプレスパスを頼りにできるだけ多くの発表会やカンファレンスに顔を出そうと、途中退出したものも多い。
サムスンのキーノート・スピーチでも、メインの折り曲げ可能ディスプレイが紹介された途端、途中退場する人が続出した。でも、最後にクリントン元大統領がサプライズ登場した時には、「残っていてよかったああああ」という声が会場のあちこちから。
そんななかで、米国のテレビ事情が垣間見えたのがカンファレンスだ。スピーチとは異なり、カンファレンスではパネルディスカッションが主なので、話はまとまらないことが多い。その上1時間に7~8人のスピーカーというのは、どうなの!?自分の経験に照らしてみても、この短さではかなりテケトーな発言に終わる感じは否めない。でも、パネラー同士のやり取りの中から、思わぬ本音や空気感がこぼれてくることもある。

スクリーンショット 2014-09-22 7.46.03ces2013 003(「Social Television」。右から3番目が、IBMのSaul Berman氏)

まず面白かったのが、「Social Television」というカンファレンスだ。
ここでも、「若者がテレビを見ていない」。特に「20代以下は、ファーストラン(地上波で放送される最初の放送)を見ていない」という報告がなされた。
その理由として「多くの若者は、スマートフォンやタブレットでオンデマンド視聴を見ている」という指摘があり、「若者は、自分の時間を持っている(=タイムシフト視聴)」という発言にパネラー全員がうんうんとうなづく。
では、どうするか?という議論の中で「テレビは、視聴者にdiscoverを提供しなければならない」という話になった。番組自体にも「発見」が必要だが、そもそも番組を「発見」してもらわなければならない。この手の話は、洋の東西を問わないなあと独りごちていたら、IBMグローバルビジネス担当のSaul Berman氏がイキナリ
「若者にとっては、もはやスマートフォン&タブレットがファーストスクリーンなんだ」と発言。これには、私だけでなくパネラーのTBS(といっても、Turner Broadcasting System)の人も一瞬のけぞっていた。
その後も、「個々の視聴者に合わせたソーシャル&オススメ機能の開発が必要」「賢いネットワークテレビ局は、視聴者の変化に気づいている。ソーシャルやUGC(User Generated Contents)から学ぶことは多い」「ソーシャルで得た共感を、CMまで引っ張るのが課題」とまあ、よくある発言が続いた。
そして最後にTBSのJeff Eddings氏が「ソーシャルの力で、広告ビジネスを補強したい」と発言した時だ。先ほどのIBMのBerman氏が静かに
「そもそもソーシャルと広告ビジネスとは、まったく関係のないものだ」と一言。
ビシッとストレートパンチが入った感じで、会場が一瞬シーンとなった。

スクリーンショット 2014-09-22 7.48.20ces2013 004

翌日に開かれたデジタルハリウッド主催の「The Television Ecosystem」というカンファレンスでも矢面に立たされたのは、TBSだった。
コムキャストでペイテレビ・オペレーターをしていると自己紹介したCharles Meehan氏は「ネットワークテレビ局は、スマホ&タブレットに番組提供することに消極的過ぎる」と批判。「そもそも、ネットワークテレビ局はもうけすぎだ。But that time is over!」と言い放った。
これに対し、TBSのJeremy Legg氏は「ネットワークテレビ局にとって、フレッシュコンテンツを守ることはマスト。HBO(ケーブルテレビ局)だって、オリジナル番組を作るようになってから伸びたじゃないか。プレミアムコンテンツは誰にとっても重要だ」と主張したが、なんとなく会場の雰囲気は冷ややかだ。
このように、スマホ&タブレット至上主義のCES2013では、スマホ&タブレットへの番組供給に消極的なネットワークテレビ関係者を、ペイテレビでイケイケのケーブルテレビ関係者が皮肉るという構図があちこちで見られた。
別のカンファレンスでは、NBCユニバーサルのPam Schechter氏が「オンデマンドで見ているのは、視聴者全体の1割に過ぎない」と釘を刺した上で、「私たちネットワークテレビ局は、新しいBig Screen experienceを追求しなければならない」と語っていた。でもそれって、正にかつての映画ぢゃね!?
とまあ、モヤモヤしたアウェイな感じをヒシヒシと感じながら、私も見本市会場に向かったのでした(続く)。

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  • 山脇伸介
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