ネットのパラダイムをテレビはうまく取り入れられるか?
例えばキーノートでAnthonyRose氏が説明してくれたZeeboxはまさにそういうツールです。Zeeboxがまず示してくれるのは、番組の選び方です。Zeeboxユーザーが今いちばん見ている番組はこれです。あなたにお勧めなのはこの番組です。Twitterでいまもっとも盛り上がっているのはこれです。いまどの番組を観ればいいか、多様な切り口で示してくれます。そんな番組の選び方を初めとして、Zeeboxが示すのは、テレビをネットの感覚におとしこんだ数々のツールです。
遠藤さんの話から頭の中でつながった話があります。先日、某キー局の友人と呑んだ時話してくれたのが、12才の息子さんが『水曜どうでしょう』の大ファンだということ。彼がこの番組を知ったきっかけは、YouTubeなのだそうです。YouTubeで知って、ネット配信でどんどん見て、地上波でも観るようになったのだそうです。テレビ番組とのコンタクトの順番が、常識と真逆。そんな現象を知ってか知らずか、『水曜どうでしょう』はYouTubeにたくさん置いてあります。公式もあるし、海賊も数えきれないくらいある。いまの若者たちとの接点が用意されてるわけですね。YouTubeを活用し、ネット配信もどんどんやって、という『水曜どうでしょう』の手法はまさに、ネットのパラダイムにうまくのっかれている、ということなのでしょう。
のっかるとトクだぞ。そんな状況が明らかに勃興している。のれないと、損するぞ。そういう時代です。だって、2020年には70億人だかがネットにつながる、人類ネット化時代です。
そんなことを考えていたら、このあやとりブログで前川せんぱいが先日の民間放送大会の速攻レビューをまとめてくださっていました。読んでびっくりしたのですが、タイムシフト視聴やソーシャルの話、統合GRPなんて言葉も飛び出したのですね。これらはまったく、ネットのパラダイムを取り入れる、こととリンクした話題だと思います。そんな話が民放連主催の催しで、しかもかなりエスタブリッシュメントな匂いの催しで、堂々と語られたのは画期的なことだと思います。
この図は、バトルトークに出演した東芝の片岡さんたちが開発したテレビの機能の一部を説明する画面です。
これは将来こうしたい、というものではなく、すでに東芝のテレビに搭載されている機能です。テレビ画面上でtwitterを表示するのです。ツイートの中にテレビ局を示すハッシュタグが入っているとそのチャンネルにポンと切り替わることもできるそうです。
これも、ネットのパラダイムですね。PCやスマホの上ではすでに、ツイートの中のURLを押すとそのページに飛べますが、同じようなことがテレビでもできてしまう。テレビをネットみたいに使うことは、すでにできるようになっている。
ネットのパラダイムを取り入れる。それは、テレビがネットに呑み込まれる、ことは意味しません。むしろ、テレビがネットの感覚を利用して、活気を取り戻したり若い人との接点を生み出したりすることです。そっちの方向へ、もうみんなして進みはじめるタイミングではないでしょうか。
境 治 プロフィール
フリーランスのコピーライターとして長年活動したのち、映像製作会社ロボット経営企画室長・広告代理店ビデオプロモーション企画推進部長を経て再びフリーランスに。2011年7月に『テレビは生き残れるのか』を出版。
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