ソトテレビ(志村一隆)
ウチとソトと棲み分け理論
イノベーションは、非連続であり、既存市場の外側で起きる。
自分がこのことに気づいたのは、アメリカのネットフリックスとケーブルテレビの視聴者数を調べているときだった。
ネットフリックスとケーブルテレビは、「有料で映像を見せる」ビジネスで競合していた。ネットフリックスは、ケーブルテレビユーザーを浸食する。ケーブルテレビの加入者が減り、ネットフリックスの加入者が伸びる。そう言われていた。自分も思っていた。
しかし、実際の加入者数を追っていると、ネットフリックスの急激な加入増に比べ、ケーブルテレビはそれほど落ち込まないことが明らかになった。少しずつ減っている。
それを見て、ネットフリックスは既存市場を代替したのではなく、その外側に新たな市場を作ったのだと気づいた。お互いに、社会のなかに居所を見つけ、棲み分けているわけだ。
そんな、今西錦司の「棲み分け理論」というのがあると知った。進化後の生物が進化前の生物を代替することはない。それぞれが棲み分けて「いま」を生きてるという理論だ。(自分は「[amazon_link id=”4121600320″ target=”_blank” ]生物の世界[/amazon_link]」という本を読んだ。また、evolutionと進化について静岡産業大学 大堀兼男教授のコラムも参考になる)
この「棲み分け」理論。さきほどの「モーメント」の分散に当てはまれば、テレビと個人の「モーメント」は、代替されたり、どちらか一方が消滅するのではなく、両者が共存していると言えよう。
テレビの「ソト」で勝手に新たな映像の夢を語ったほうが健全だ
さいごに、境さんのポストにあった西田二郎氏のインタビュー。境さんの指摘通り、自分と似たこと考えてる。
自分は、昔WOWOWにいたとき、メディア評論にまともなものが無いと思ったので、じゃあ自分でやってみようと思い立って、職を変えた。
自分の欲しいものがない。だったら、自分で作ればいい!あやぶろだって、そういう場であろう。
志村一隆(シムラカズタカ)プロフィール
1991年早稲田大学卒業、第1期生としてWOWOWに入社。2001年モバイルコミュニティを広告ビジネスで運営するケータイWOWOWを設立、代表取 締役就任、業界の先駆けとなる。2007年より情報通信総合研究所で、メディア、インターネットの海外動向の研究に従事。2000年エモリー大学で MBA、2005年高知工科大学で博士号
『明日のテレビ-チャンネルが消える日-(朝日新書)』、『ネットテレビの衝撃(東洋経済新報社)』が絶賛発売中。ツイッターは zutaka
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