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201310/15

ソトテレビ(志村一隆)

稲井さん境さんからの反論に、自分も「あや」を取ってみよう。以前、前川センパイや河尻さんと盛り上がったときは、視点のズレを楽しんだ。「あや」とりブログが思考実験の「場」として機能するには、同じ意見を持ち寄っても仕方がない。
ともかく、お二人の反論に大きく「あや」をとって、「テレビ」の未来のイメージが膨らむような「膨論」を試みたい。

 

 

内と外

志村1

 

先日、とある家電メーカーの宣伝部の方とランチをしていたとき、「ウチとソト」という話が出た。
こんな感じ。
映像を見るテクノロジーを考えると、昔映画館しかなかったのが、街頭テレビになり、それが家庭に持ち込まれた。
1960年代から「家電」メーカーのイノベーションは、外でできることを家庭に持ち込む点にあった。
つまり、「外から内」である。
「ご家庭でもたこ焼きができる!」「ご家庭にこの味を」
なんでも家庭でする。
家庭に持ち込めるサービスが一巡すると、今度は外に持ち出すのがイノベーションになった。
WALKMAN、DS、スマートフォン。。
今度は、「内から外へ」持ち出すところにビジネスが生まれた。

 

志村2

写真:「外」に出るスクリーン。CEATECでASKANETという会社が、なにもない空中に画像を映し出していた。CES2013では、水蒸気に映像を映す会社もいた。筐体の無いスクリーンが実現すれば、ウチもソトもなくなる。

 

 

 

カスタマイズとオンデマンド

 

3志村

 

内から外に持ち運ぶ、それを可能にしたのは、デジタル技術やインターネットであろう。

 

そのインターネットの影響。ざっくりと一言でいえば「オンデマンドとカスタマイズ」ではないか。パッケージをバラバラにして、マルチデバイスで提供する。
つまり、企業の事情でなく消費者目線である。消費者にとっての「利便性」が、スタートアップ企業の成長に繋がった。
「アルバム➡シングル」「時間編成➡プレイリスト」「チャンネル➡オンデマンド」などなど。
だが、彼らが顧客に届けていたのは、プロの作った「完成品」だった。
それが、ここ3年ほど、ボーカロイド、3Dプリンター、スマホやYouTubeの編集機能、などなど、自分で好きなものを作る「セルフ・プロダクト」の萌芽が出ている。
デジタル技術が道具の独占によるプロとアマのハードルを下げる。そして、さらにソーシャルが、プロとアマの境界を融合させ「表現=クリエイティブ」を変化させる。
プロと呼ばれる人、あるいはそうなりたい若者は、そんな環境で「プロ」とはなにか?を問い続けなければならないだろう。それは、「社員としてプロは成り立つのか?」「職業とプロとは?」といった問い掛けにもなる。(この辺は前川センパイのポストが議論している)
こんなことを考えていると、これからのメディアの未来を語るには、流通革命だけにスポットを当てていても足りない。ユーザーはUseだけでなくProductもするところまで、その範囲に入れる必要があると否応なく気づく。(要は、アルビン・トフラーの「プロシューマー」なのだが)
氏家さんの「視聴者はユーザーになった」を「視聴者はプロシューマーになった」と置き換えると、もっと未来がみえてくると思うが、どうだろう?

 

志村4

 

 

 

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