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20139/9

How とWhat、脱と続(志村一隆)

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10月1日に「あやぶろナイト」が開かれる。
そこで、事前に氏家さんの一連の論文のあやを取ってみたい。

 

 

HowとWhat

 

映像メディア分野における、インターネットの影響。第一ステージのキーワードは「利便性」である。
2009年以来フールーやネットフリックスがテレビ以外のスクリーンに配信することで、新たな成功を掴んだ。
競争相手は、ケーブルテレビ。彼らが「テレビ」スクリーンにこだわってる間に、ネットフリックスは会員が1,700万件も増やした。
多様化する伝送路・スクリーンに対応したプラットフォームをいち早く構築できた人が勝った。
つまり、「HOW」の世界だ。いかに消費者の近くに商品を届けられるのか?が競争軸だった。
しかし、インターネット、及びデジタル技術は、すぐに陳腐化する。世界中の誰かがマネしてすると、スグに広まる。
そこで、「WHAT」、つまり「何」を届けるのか?に勝負のポイントが移る。
初期ネット配信ベンチャーのなかで、あれほど輝いていたBOXEEが成長できず、ネットフリックスやフールーが勝ち残れたのは、コンテンツ(配信権)=「WHAT」を持っていたからだ。
そして、コンテンツを持ってる企業が、自らネット配信を始める。「HBO GO」、「ウルトラバイオレット」などなど。(参照:JB Pressに書いた記事とすごい昔の自分のブログ
ここまで2011年の段階。

 

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「消費者の求めてるものは?」(ウルトラ・バイオレットのプレゼン資料、CES2012にて)

 

そして、インターネットを利用すれば、自らコンテンツ配信ができることに気づいたのか、メディア・コングロマリット(企業複合体)は、メディア部門を売却し始めた。とくに、リーマン・ショック後、その動きが加速する。
1990年代からのウィンドウ戦略(メディア市場における垂直統合戦略)が終焉し、コンテンツとユーザーのタッチポイントをメディアに任せるのでなく、自らユーザーと直結する戦略を取り始めてる。
さらに、ディズニーのように、作品を商品の最小単位と見るのでなく、キャラクターを活用する戦略を取る企業も出て来た。
(参照:JB Pressへの寄稿「キャラクター・レバレッジ」戦略)
ここが現在の最先端である。
2009年以来4年で、メディアにおけるインターネットの影響は、「利便性」の提供が既存の流通網解体につながり、商品単位=経営の考え方の変化にまで及んでる。

 

 

 

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