ベッドの上で考えたこと(木原毅)
肺炎を患い、1月15日から2月8日まで、1月近く入院するはめになってしまった。
医師の診断を受けてわかったのは「風邪をこじらせて肺炎になる」というという言い方は、かなりはしょったもので、正確には「風邪をこじらせて《気力・体力・免疫力が低下したところに、肺炎のウィルスが増殖して》発病した」ということらしい。ちなみに私が罹った肺炎球菌ウィルスというやつは、誰もがふだん普通に持っているものだそうだ。
最初の1週間は「青菜に塩」状態だったが、回復に向かいだしての3週間はすることがない。点滴があるので読書もままならぬ。もっぱらTVのザッピングとRadiko経由(パソコンの持ち込みはOKだった)でのラジオ聴取で無聊を慰めていた。
「入院して思ったこと その壱」
入院して最初の週は、ときおり熱にうなされながらも放り投げてきた仕事のことなどが気になったが、2週目ともなると早くもあきらめの境地に達して、無心な気持ちでメディアに接することが出来た。
そんななかで視たTV番組のひとつに『アイアンシェフ』があった。いまの時代には合っていなかったという論評もあったが、決してそうではないのではないか。つくり手の微妙な計算違いがあったのではないか。番組批評は本論ではないから簡単に済ませておくが、前作『料理の鉄人』は、これは「つくりものですよ」という雰囲気を絶えず漂わせていたと思う。真剣に遊んでいる。刀は竹光かもしれませんよ、と思わせる遊びゴコロな演出があったように思う。ところが今回は徹頭徹尾真剣を見せてしまった。これに尽きるような気がするのである。
「入院して思ったこと その弐、というかこれからが本題です」
それはさておき、実は、この番組ほど「ソーシャル」との連携を積極的にすべきだったのではないかという思いを強くした。食べ物という極めて主観的な素材を扱っているが故に美味そうだとか、こんな料理は私は苦手だというのは、誰もが勝手に主張することができるわけだし、料理のプロセスにも感想は言いやすい。ネガティブな反応も「食べログ」あたりで免疫もあるだろう。そして勝敗の予想。
もちろんこれらは、別途展開している番組ホームページやフェイスブックでは当然ながらやっている。リアルタイムで「つぶやき」も載せていた。これらをホームページ上ではなく、放送と同時にTVの放送画面に取り込んでゆくというのはどうだろうか……。
前川せんぱい、こんなアイデアは「あり」でしょうか?今の圧縮技術ならできるのではないかと勝手に思っているのですが。
1チャンネルを分割して同じ番組を2つ放送する。メインをAプログラム、サブをBプログラムとし。Aのほうには帯域を多く配分して、HDに近い画質でそのまま放送、通常の番組として楽しみたい人はAプロ。サブのBプログラムはSDで視聴者(ユーザーか)の反応をダイレクトに取り込む。画像をニコ動的な画面の作り方もOKだろうし、帯域を考えて画面を若干小さくしてNHKの『NEWSweb24』より、さらにコメント重視の「汚い」画面にしてしまう。スマートメディアへの取り込みもできるはず。山脇さん、こんな使い方どうでしょう?
とまあ入院中、こんなことを考えたりしたのでした。
(氏家さんのTVの現状への問題提起や、西さんの刺激的なV-low活用法へのあやがとれずすみません)
木原毅(きはらたけし)プロフィール
1978年早稲田大学文学部卒業後TBS入社。ふりだしはテレビ営業局CM部。その後約20年ラジオのさまざまな現場生活を経て、2000年頃からインターネット・モバイルの部局へ。07年よりTBSディグネット代表取締役社長。
コメント
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