9・17【せんぱい日記】“ことばを失うような状況”に出遭った時でも、作家はことばを失うわけにはいかない。では、メディアは?前川英樹
9/1(土)
高橋源一郎「非常時の言葉」に強く感銘する。
3.11、大地震・大津波、原発事故。私たちは何かが変わったと思っている。だが、何がどう変わったのだろうか。「そのこと」を考えるとはどういうことか。誰かの考えたことを、あるいは何かの前例を下敷きにして考えることは、何の意味もない。自分の中を覗き込むようにして自分で考える、そのようにしてことばを綴る。加藤典洋が書いた文章を読みこみつつ、高橋源一郎はことばについて考えてゆく。
パレスチナ難民キャンプの虐殺現場に立つジャン・ジュネのことば、胎児性水俣病の少年の家を訪ねた石牟礼道子のことば、悲惨なことばを失うような場所に立ったとき、ことばを使うことが生きることである作家は何をどう語り、どう記録するのだろう。人にとってことばとは何だろう。
川上弘美は、3.11のあとデビュー作「神様」をリメイクして「神様 2011」を書いた。川上弘美という作家がこんなに優れた作家とは知らなかった。高橋源一郎とともに、このリメイクされた小説の解読をするだけでも、この本は面白かった。
9/2(日)
今日も繍雨。雷鳴。
ベランダの手すりに蝉。
残暑は厳しいが夏は終わる。
「あやブロ」“せんぱい日記”「一色に染められてはたまらない」-山田風太郎・John.Lennon.などなど-http://ayablog.com/old/?p=20352
地デジ関連写真を掲載。
(民放連のアメリカデジタル事情調査団、NAB訪問 1998.3.5.)
(同)
(1セグ技術特許国際交渉合意 共同記者発表 2004.3.24.)
夜 BS11「PEACE BED 「アメリカvsジョン・レノン」を見る。
BS11は滅多に見ない。たまたま、チャンネルを合わせたのだが、そのまま見入ってしまった。
9/3(月)
午前中、「放送人の会」法人化関係について、神田錦町の司法書士事務所。
定款作成が主たる案件。定款にどうしてこう書いてあるのか(あるいは、書いてないのか)などの疑問があるが、「そういうものなんです」と言われるとまぁそうかと思うしかない。
調査情報[h1] No508 第2特集「中国と付き合う-日中国交回復40年」の石川好「日本のサブカルチャーを中国へ」が面白い。このくらいのスタンスで双方が考えると良いのだが、と思わせる。
9/4(火)
“大日本帝国は敗戦でチャラになったわけではない”
朝日新聞オピニオン欄「高度成長とアメリカ」吉見俊哉
「アメリカは戦後,大日本帝国の遺産を引き継ぎ、日本がかつて植民地化した多くの地域を自陣営に組み込んだ。そして日本は、アメリカと最も仲の良いアジアの国として自らを再定義することで、戦後もアジアの中心であり続けることが出来ました。大日本帝国は敗戦でチャラになったわけではない。この連続性は見逃されるべきではありません」
「広い意味での占領は52年に終わったわけではない。もっと、日本の社会や歴史、構造に内在化するような形でアメリカは戦後日本を支配し続け、日本は現在もアメリカから自由ではない」
「日本はアジアを忘れるために、一生懸命にアメリカだけを見てきたのだと思います」
「大日本帝国からアメリカ覇権の連続性を問い直しつつ、この多元性(*)に賭けてみたい。そこに日本人の活路があると考えています」 *(巨大な都市化された群島としての東アジア)
敗戦国がたちまちアジアのトップに立ったしまったとき(それも占領国アメリカとの同盟=庇護の下で)、各国の受け止め方はひどく複雑だったはずだ。その屈折が今表に出てきている。
対米関係と東アジア関係を貫く共通論理を作り出せなかった日本。黒船以来のテーマであり、戦前の北進論・南進論という構図から抜け出せなかったツケだ。
9/5(水)
昼、元気堂。
あやぶろ【メディアの<鎖>化を巡って考えた―それぞれのメディアは自らに何を問うのか―】[h2]
このところの「メディアと<鎖>」を巡るあや取りは面白い。
境治さんが、自分のブログにこう書いた。
「オリンピックとは国家の祭典だ。一方、テレビは国家と何らかの関わりを持たざるをえない存在だ。(少なくとも電波の割当は政府が決めるものだ)オリンピックという国家を代表するスポーツ選手たちの競技を、テレビという国家が許認可を出すメディア事業が、その国家に属する人びと(=国民)に伝える、盛り上げる。そういう構造だった。」「そこにソーシャルメディアが加わることで、選手・テレビ・国民それぞれに対し国家が(意図せずとも)めぐらせていた鎖のようなものがだらだらと、ずるずると、ほどけていってしまう。そうならざるをえない。”そうならざるをえない変化”をもたらすのがソーシャルメディアなのだが、オリンピックではまさにそうなんじゃないかと思う。」
これについて、(境さんのソーシャル・メディアとロンドン・オリンピックについての考察はとても面白いと評価したうえで)こうコメントした。
「ソーシャルメディアは、常にあるいは必ず<鎖>をほどくように機能するのでしょうか。ひょっとしたら誰が意図するということではなく、結果として<鎖>になってしまうことはないのでしょうか?」これから私たちが直面するのは、そういうことかもしれないと思うのです」
そこから、あや取りが広がっている。
「あやブロ」[h3] はなかなか良い場になって来た。
9/6(木)
母命日。
護国寺に墓参。
昭和20年のこの日、母の顔は白い布で覆われていた。
空襲の日、縁側で母の膝の上で夜空のB29(?)を眺めていたらしいこと(庭には防空壕があったと思う)と、この二つしか母の記憶はない。
午後、久しぶりにTBSの20F。
夕刻、総務省の地デジ関係者を訪問。
人事異動の時期で(国会が伸びたため、今年はこの時期になってしまった)、昇進の人退任の人など。
夜、ポルトガル料理。
9/8(土)
秋掃除。台所流し、ガス台など掃除。
漱石「虞美人草」読了。
最後の2章は走り過ぎだ。どうしてそんなに急いで書き上げたのだろう。
9/9(日)
秋掃除・続。リビング、玄関、洗面所、など床掃除。
9/10(月)
都のシルバーパス更新手続きで町田市民センター。
自宅から駅までバス利用。年間25,000円。週2回(往復)利用すると十分見合う。
各バス会社の路線と都営地下鉄、都電が利用可能。
午後、「放送人の会」事務局で定款関係作業。
夜、民放連「客員研究会」。2期目。引き続きオブザーバー参加。
22時半帰宅。
9/11(火)
「もし領土問題が解決し、日中韓台の相互理解・相互依存が深まると、米国抜きの『東アジア共同体』構想が現実味を帯びてくる。それは米西戦争以来120年にわたる米国の西太平洋戦略の終焉を意味している。米国は全力でそれを阻止しなければならない。」内田樹(朝日新聞 「わたしの紙面批評」)
ここでもやっぱり、「日本にとって、アメリカとは何者か?」が問われている。
「贔屓のスキーショップに電話とメールで昨シーズンモデル(板)の在庫を確認し、そのまま購入する息子に唖然。ブーツサイズもショップは知っているらしく、ビンディングもセットして宅配便で送ってくるそうだ。シーズン到来も近い??」とFBで奥さん。
シーズン到来近いてすよ!!!娘と孫の板・靴予約済み。そろそろ自分のものにも目配りの時期です。来月になるとシーズン券の申し込み!!!」と書き込む。
9/12(水)
訃報。妻の姉。
明日通夜、明後日葬儀。
焼津なので、娘たち夫婦の誰かが車で言ってくれればいいが、そうでないと新幹線利用になる。妻の体調では一人で出すわけにもいかない。「大丈夫、一緒に行くよ」と言う。そうなると、金曜の放送人の会の幹事会は出られない。法人化の議論は実質的にはこの一回だろう。そこを「ちょっとお願い」というのは、はなはだ不本意だ。参ったな、というのが本音だ。
9/13(木)
民放研、出版打ち合わせ。そのあとTBSメディア総研。
そんなこんなで、今晩のウジさんのメディアカフェを急遽欠席。残念。
長女夫婦が休暇を取って焼津に行ってくれるという。助かる。
9/15(金)
妻と長女夫婦は、朝早目に出発。昼頃、現地着の連絡あり。
夕方、放送人の会幹事会。
定款と運営規約の提案説明。大きな問題はなかったが、いくつかの点でその場では決められない問題指摘がある。「問題はテーブルの上に出しておきましょう」といって、取りあえず全体について説明した。
近々、司法書士に相談し整理しないといけない。
20時ころ帰宅。妻たちも戻っていた。お疲れ様。
[h1]http://www.tbs.co.jp/mri/info/info.html
[h2]http://ayablog.com/old/?p=20406
[h3]」http://ayablog.com/old/
前川英樹(マエカワ ヒデキ)プロフィール
1964 年TBS入社 。TBS人生の前半はドラマなど番組制作。42歳の ある日突然メ ディア企画開発部門に異動。ハイビジョン・BS・地デジとい うポストアナログ地上波の「王道」(当時はいばらの道?)を歩く。誰もやってないことが色々出来て面白かった。その後、TBSメディア総研社長。2010 年6月”仕事”終了。でも、ソーシャル・ネットワーク時代のテレビ論への関心は持続している・・・つもり。で、「あやブロ」をとりあえずその<場>にして いる。
「あやブロ」での通称?は“せんぱい”。プロフィール写真は40歳頃(30年程前だ)、ドラマのロケ現場。一番の趣味はスキー。ホームゲレンデは戸隠。
コメント
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