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20127/17

7・17せんぱい日記【続・反原発デモのこと、70年前後の“知への渇望”のこと、など】前川英樹

 

 

7/1(日)

庭の雑草取り。
「去年と種類も生え方も違う」といったら「だって、雑草なんだから」と言われてしまった。

7/2(月)
ただ、ボーっとしていたい、と思う。

7/4(水)
昼、TBSメディア総研の勉強会。
夕方、学生時代の友人と「砂場」。先週も砂場だといったのだが、是非にということで。

7/6(金)
昨日、フクシマ原発事故についての国会の事故調報告書が公表されて、今日新聞等で論評。
「事業者と規制官庁の癒着」問題に踏み込んでいるのは評価していいのだろう。

TBSラジオ「森本タケロー スタンバイ」で、反原発デモの「混乱の恐れがあるから解散」という呼びかけは、警備の警察のハンドスピカ―を借りたのだと、小沢遼子さんが話していた。そりゃ、問題だろう!と思っていたら、「そういうのがイイネ(屈託がなくて・・・ということか)、私が思うとても良いデモだ」とコメント。ウーム、そういう風に思うのか。こっちが、固定観念に捉われているのかな。
下の図は6.29のデモで、「デモのことをどうやって知ったか」を調査した結果の一部。石川れい子さんという方がFBにアップしたものをシェアーさせて頂いた。ツィッタ―やFBの情報が機能していることが良く分かるが、なによりもリサーチがアナログ的なのが良い。石川さん、ありがとう。

7/7(土)
NHK「がれき 2000万トンの衝撃」。去年11月の現地視察の情景を思い出した(下の写真は大槌町)。

瓦礫受け入れ拒否という住民たちは何を考えているのだろうと思っていたが、その状況をフォローした取材もあったのでちょっとホッとした。
いま、150万トンの瓦礫が北米大陸西海岸に次々と漂着している。

7/9(月)
Walkingの途中、小学校の体育はプール。梅雨の晴れ間だ。

「あやブロ」に【メディアと時間についての断章と最近のいくつかのポストについて一言】をアップ。
http://ayablog.com/old/?p=19976
BS映画「望郷」。良い映画だ。撮影技術に感心した。

 7/10(火)
午後、四谷メディカルキューブ。手術後の一ヶ月の経過診断。問題なしとのこと。診察もこれで終了。その後、民放連で出版企画打合せ。終わってTBSメディア総研へ。麹町-紀尾井町-赤坂と徒歩移動。暑かった。
夜、民放連専務理事になった木村氏と懇親。渋谷バスク料理。メディア総研氏家君、TBSコンテンツ事業吉田君。あちこちに話が飛んだけど面白かった・・・が、どうも仕事を離れてから会話に緊張感がなくなったようだ。

7/12(木)
吉祥寺で体のメンテナンス。
自立営業を始めたマッサージ師に、もう使わないだろうビジネス・バッグを進呈。出張治療用のバッグが欲しいと言っていたので。その後食事。

7/13(金)
東京国際GC。一ヶ月ぶりのゴルフ。復帰第一戦としてはまあこんなものか。

7/14(土)
「詩とことば」(荒川洋治 岩波現代文庫)

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「1970年前後は、評論家が燃えた。青年たちは評論に熱中した。評論集が次々に出た。丸山眞男、吉本隆明、埴谷雄高。鶴見俊輔、竹内好、藤田省三、橋川文三。内村剛介、松本健一、桶谷秀昭。寺田透、磯田光一、日沼倫太郎、月村敏行、秋山駿。谷川健一、井上良雄、丸山照雄、田川建三。谷川雁、村上一郎、黒田喜夫、松永吾一、梶木剛、宗谷真爾、廣末保・・・・・・。思想家、政治学者、詩人、文芸評論家、国文学者、神学者、民俗学者、など、ここにあげた人たちはいろんな世界の人たちだが、当時の読者に区別はなかったのではないか。怒涛のように押し寄せる彼らの評論を読む。読み耽る。それが日常の一部を形成した。そのころの評論は個人の思考を、まるで詩のように突出させるものが多い。不親切なのだ。優しさのかけらもない。」

全くそういう時代だった、ぼくの場合は60年代前半からだったけど。
ここに名前の挙がっている人の中で、ぼくが全く掠らなかったのは井上良雄と宗谷真爾くらいだ。もちろん、ここに上がってない人も沢山いる。学生時代は金がなかったので、新刊書が出てもすぐに買わなかった。数カ月して古書店に出るのを待っていた。その馴染みの店はもうない。
「ここにあげた人たちはいろんな世界の人たちだが、当時の読者に区別はなかったのではないか」、と言われればそのとおりだ。タイトルだけでも、こちらの神経にピリリと突き刺さるものがあれば何でも読んだ。左翼運動は何故破綻したかということと、日本浪漫派とは何だったのかということは、同じ問いだった。幸徳秋水と北一輝、転向論と黒龍会・玄洋社などについて書いた本が机の上に並んでいた。
「怒涛のように押し寄せる彼らの評論を読む。読み耽る。それが日常の一部を形成した」、「日常の一部」というより「日常そのもの」だった。「不親切なのだ。優しさのかけらもない」、そう、だから必死に読んだのだった。谷川雁などは「分からないという非難の渦に」というエッセーまで書いている(『読書新聞』1959 「工作者宣言」所収)。
あの頃の熱気、「自分は何者か」とか「時代と自分の関係とは何か」とか・・・知に対する渇き(飢えというより渇きといった方がぴったりくる)、あるいは存在論的な知のあり方。それは、20世紀的なるものの一つなのだろう。残滓が書架にある。

 

前川英樹(マエカワ ヒデキ)プロフィール
1964 年TBS入社 。TBS人生の前半はドラマなど番組制作。42歳の ある日突然メ ディア企画開発部門に異動。ハイビジョン・BS・地デジとい うポストアナログ地上波の「王道」(当時はいばらの道?)を歩く。誰もやってないことが色々出来て面白かった。その後、TBSメディア総研社長。2010 年6月”仕事”終了。でも、ソーシャル・ネットワーク時代のテレビ論への関心は持続している・・・つもり。で、「あやブロ」をとりあえずその<場>にして いる。
「あやブロ」での通称?は“せんぱい”。プロフィール写真は40歳頃(30年程前だ)、ドラマのロケ現場。一番の趣味はスキー。ホームゲレンデは戸隠。

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