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20123/5

「古い話で、ちょっとブレイク・・・個人技を磨け!」 前川英樹

今回はチョット一息吐いて、コーヒー・ブレイク。
前回の前川ポスト「河尻式連立方程式を過激に読む・・・これって、変数ばっかじゃないか!」で、論旨とは別にこう書いた。
<大事なことは「得意技で勝負するしかない」ということだ。得意技とは、その技で勝負しているときが、一番面白いということであり、面白がらなければ説得力も影響力も生じないということなのである。>

そうしたら、稲井さんが「テレビの仕事は楽しいかね?」でそれを少し遠回りしてこう受けた。
<IT革命の進行は、かつて創造的破壊を起こしたことがあるテレビ事業に刺激と危機感を与え、挑戦を受けたテレビは幾分古びた慣行を捨てて新たな領域を切り拓くべき「嵐」の時代に入りました。でも、どうせやるなら楽しみながら取り組んだほうがいい。
『テレビの仕事は楽しいかね?』 ~ あなたならどう答えますか?>

で、こういうことと全然関係なく、あや取り手の一人堀さんがフリーランスから社員雇用に転職したという。うん、それは良かった、などということをぼんやり考えていたら、フト思い出したことがある。
ぼくは高校時代サッカー部でゴールキーパー、キャプテンだった。どのくらいのレベルかといえば、当時アジア・ユーストーナメントという大会があって、高校選抜チームが出場したのだが、その選抜のための、地区の学校推薦のリストに載る程度、まぁ普通より少し上だと思えばいいだろう。余談だが、選抜された選手が東大の御殿下グラウンドで合宿練習しているというので見に行って驚嘆した。後に全日本のGKでJapanの監督にもなる横山選手のプレーを見て、ものが違う、人間じゃない、と呆れたことを覚えている。

(写真は、対OB戦 小石川高校グラウンド 1958~1959年頃)

その頃のことだ。母校のサッカー部は旧制中学時代にかなり盛んで、戦後もしばらくは強かった時代があったのだが、ぼくの世代は前後の年代に比較しても芳しい成績が挙げられなく、低迷していた。帝京など新興私立校が活躍し始めたころだった。そんなわけで、3年生が集まって「おれ達、個人技はどうやっても劣るから、チームプレーで何とかするしかない」というようなことを話していたときだった。それをたまたま聞いていたのだろう、コーチの先輩から一喝された。
「それは違う、個人技なくしてチームプレーなし。下手でもいいから(と言ったかどうか…)まず個人技を磨け!」

 

このことをずっと長い間忘れていた。
会社で組織と個人ということを考えるようになったときに、卒然としてその光景がよみがえったのだった。
そう、下手のままでは困るのだが、個人技を磨き、得意技を駆使して、「仕事は楽しいかい?」と問われたときに「Yes!楽しんでるよ」といえなくて、どうして会社が、あるいは組織が、そして業態が上手く機能するだろうか。そうでなくて、どうして、そこからイノベーションなど起こるだろうか。逆からいえば、彼らの個人技、得意技を活かすことが出来なければ、企業も産業も何も変わらないままなのだ。ということは、もちろん、どの程度の個人技か、どんな得意技なのかも問われるので、ただの遊びというわけにはいかない。
だから、個人技を磨くためにも、今自分はどこにいるのか、それはどういう場所なのかということについての[創造力=想像力]は大切なのだ。

ということを、稲井さんのあや取りと、堀さんの転職話でまたまた思い出した。でも、これって堀さんへのエールになっているだろうか。
閑話休題。

(高校の夏合宿にコーチとして参加 1960年頃)

前川英樹(マエカワ ヒデキ)プロフィール

1964年TBS入社 。TBS人生の前半はドラマなど番組制作。42歳の ある日突然メ ディア企画開発部門に異動。ハイビジョン・BS・地デジとい うポストアナログ地上波の「王道」(当時はいばらの道?)を歩く。誰もやってないことが色々出来て面白かった。その後、TBSメディア総研社長。2010 年6月”仕事”終了。でも、ソーシャル・ネットワーク時代のテレビ論への関心は持続している・・・つもり。で、「あやブロ」をとりあえずその<場>にして いる。
「あやブロ」での通称?は“せんぱい”。プロフィール写真は40歳頃(30年程前だ)、ドラマのロケ現場。一番の趣味はスキー。ホームゲレンデは戸隠。

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