テレビの“ソーシャル化”ってなんなのさ!?
5月27日(金)放送のNHK「あさイチ」での出来事だ。あるコーナー終わりで有働由美子アナが「ここで、視聴者の方からファックスが来ています」といって、紹介したのが「有働アナの脇汗がひどい」というクレームだった。有働さんはこのファックスを読み上げ、「自分はあまり気にしていなかったが、これからは気をつけたい」とコメント。たまたま見ていた私は頭をガツンとやられたような気持ちになった。
普通、生放送の番組で視聴者からファックスやメールを募集しても、出演者についてのクレームは取り上げないものだ。というか、クレームを受けた本人に見せることもほとんどない。しかしこの番組では、スタッフがこのファックスを出演者に見せ、しかも出演者はそれを自ら読み上げることを決断したのである。現在「あさイチ」は同じ時間帯の視聴率トップを走っているが、その理由がわかったような気がした。
最近色々なところで、「テレビのソーシャル化ってどんな感じですか?」と聞かれる。ツイッターとかフェイスブックの普及で、テレビ番組はどう変わるのか?という問いである。私はアメリカのテレビ局の例を出して、「バーチャル茶の間」とか「共感視聴」とかそんな言葉で説明することが多い。テレビはソーシャルメディアの活用でもっと身近で楽しいものになりますよ。
でも、それだけぢゃない。ファックスとかメールという旧来の「閉じられた」コミュニケーションツールでも番組側に聞く耳があれば、「親近感」はまったく違ってくる。
日本のテレビはいつから「建前」になっちまったのだろうと思うことがある。昔はもっと荒くって、ハチャメチャで楽しいものだったのに。それに比べるとアメリカのテレビ出演者は、日本より歯に衣着せぬコメントが多くて面白い。(訴訟大国のアメリカだ。よりハイレベルのリスクマネージメントが働いていることは間違いないのだが。)私はソーシャルメディアがこのような番組制作側の「建前」をぶち壊し、視聴者とのキョリを狭めてくれるものになってくれると期待している。
一方で、「本音」に近いと思われている日本のネット系サービスも、利用者の増加によって新たな段階を迎えつつある。去年の忘年会で一緒になった時、「2011年はソラノートの年!」と意気軒昂だった“元祖ダダ漏れ”のそらのちゃんは名誉毀損問題で、現在活動停止中である。また、2ちゃんねるで女性タレントの家族を中傷した匿名コメントについて、プロバイダーに対し「発言者のIPアドレスを開示せよ」という判決も出た。
…その後「あさイチ」では、6月7日(火)に『なぜか気になるワキ汗』特集を放送した。40代独身おばさんというぶっちゃけキャラをばく進する有働アナは、もしかしたら“テレビのソーシャル化”の一番手なのかも知れない。