9・1【スマホとテレビはつなげられるのか? 】山脇伸介
最近、気になっていることに「なぜスマホには親近感を感じるのに、テレビや新聞や雑誌には感じないのか?」というのがある。単に肌身離さず持ち歩いているからなのか?実際、テレビも新聞も雑誌も持ち歩かなくてもなんとでもなるけど(持ち歩かねえよ!)、スマホだけはそうはいかない。もしスマホをなくしてしまったら、他のすべての出来事を後回しにして代替機を手配すると思う。まちがいない!
思えば、テレビも新聞も雑誌もなくても困らないと思わせるのは、「私」にとってまったくの「他人」だからだ。「他人」とは「私」が存在していようがいまいが、関係ない存在。フランス語講座でエッセイストのドミニック・ローホーさんが「『他人』のような変えられないものを変えようとするエネルギーは無駄」と看破していたが、「私」の存在によってもなにも変わらない「他人」メディアに親近感なんか感じるはずもない。そして、スマホユーザーの8割が利用しているというソーシャルメディアのコミュニケーションは良くも悪くも「私」に存在する場を与えてくれる。あるいは「存在する場がある」と錯覚させてくれるものだ。
インターネットで一番嫌われる「上から目線」。それが、巨大な力を持ちながら「私」の存在をまったく無視する「マスゴミ」に向けられるのは、実にわかりやすい構図だ。テレビが勝手に「面白い」と思ったり、「重要だ」と言ってくること。「私」の存在を無視して、自らの価値観を押し付けてくる巨大メディアに、嫌悪感や反発を覚えるのはごくごく自然なことだと私は思う。
今回、ラッキーなことに9月末に深夜番組をやることになった。番組の趣旨だが、向こう側にあるテレビを、こっち側にあるスマホとつなげてみることはできないか?と考えた。なくても困らないものを、なくしたら死ぬほど困ってしまうものとつなげることができたら、少しはテレビもあってもいいものになれるんぢゃないか?という実験だ。
私には、テレビはすでにインターネットに飲み込まれているように見える。それが見えていないのは、もしかするとテレビ関係者だけではないかとさえ感じる。ここまで使った「スマホ」という言葉を「インターネット」と置き換えてみるとよくわかる。インターネットはテレビより「こっち側」にあるサービスなのだ。
21世紀のテレビは「私」を無視して成り立つものではないことはわかっている。「私」を無視しない「こっち側」のテレビをつくることはできるのか?少しでもヒントが残せるといいのですが・・・www
PS)9月28日(金)24:45~26:15生放送予定。番組詳細は、9月4日公開。
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山脇伸介(やまわきしんすけ)
1991年TBS入社。
朝昼の生情報番組やニュース番組のプロデューサーを経て、
2007年8月から1年間、ニューヨーク大学院(NYU)で「テレビとインターネットのこれから」について学ぶ。
帰国後、他局に先駆けてTwitterやFacebookの導入に尽力。
著書「Facebook 世界を征するソーシャルプラットフォーム」(ソフトバンク新書)
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