一つのテレビ局の力は全然大したことないことを、もう理解しよう
各キー局はこれまで、様々なインターネット上のサービスを展開しました。しかし、これもはっきり言いますが、ユーザー集めの点ではどれもうまくいきませんでした。
なぜテレビ局のサービスには、動画サイトのように多くのユーザーが集まらないのでしょうか。
その答えは新聞のテレビ欄にあります。
視聴者=ユーザーは、「テレビ」というと、テレビ欄に載っている全部のテレビ番組をイメージします。「テレビ局」ではなく「テレビ番組」です。どの番組を見ようかと選ぶときは、全局の番組の中から選ぶのです。TBSの番組の中からだけ選ぶなどということはありません。
全局の全番組がそろって、一つの「テレビ」というサービスになっているのです。
ですから、テレビ局が、インターネット上で多くの視聴者=ユーザーに利用してもらうサービスを提供したいなら、各局バラバラでやっていてはダメです。
テレビ局といえども、ひとつの局のパワーは、インターネットという何でもありの広大な<場>では、非力で全然大したことないのです。そのことをしっかりと認識すべきです。
ではどうすればいいのか、その答えが、冒頭に述べた、「もっとTV、日テレ、フジテレビの3つのサービスの画期的な部分を合体させる」なのです。
一言で言えば、全キー局のドラマもニュースもバラティーも情報も含めた全ての番組、全放送を見逃し配信するサービスです。
これくらいインパクトがあれば多くのユーザーを集められるでしょう。
『全局全番組見逃し視聴サービス』の具体的な仕組みについては、これまでもあやとりブログに書いてきました。
テレビの未来④:[いつでも視聴]×[どこでも視聴]の衝撃・後編
http://ayablog.com/old/archives/23681
テレビ局がまとまれば、広告費+販促費を狙える!?
http://ayablog.com/old/archives/24635
これからも折りに触れて、さらに突っ込んだ考察をしていくつもりです。
前回の記事『今年、テレビ局は大きく変わる』でも書いたように、今年、テレビは歴史的なターニングポイントを迎えるような予感がします。その理由はふたつあります。
一つはテレビ関係者、特にマネージャー・クラスのハイレベルの人たちが、正しい危機感を持つようになってきたこと、もう一つは、これまで混沌としていたテレビの未来が、かなり整理され、進むべき方向がクリアになってきたことです。
その進むべき方向とは、この『あやとりブログ』で様々な執筆者が繰り広げてきた議論の中にあります。
『あやとりブログ』は、テレビが今のメディア大変動時代を生き延びて、さらにパワーアップし、どのメディアよりもユーザー=人々の役に立ち、楽しんでもらえる存在になるために、進むべき方向を示す役目を果たしていきたいと考えています。
氏家夏彦プロフィール
TBSメディア総合研究所代表、「あやとりブログ」の編集長です。
テクノロジーとソーシャルメディアによる破壊的イノベーションで、テレビが、メディアが、社会が変わろうとしています。その未来をしっかり見極め、テレビが生き残る道を探っています。
1979年TBS入社。報道(カメラ、社会部、経済部、政治部、夕方ニュースの副編集長)・バラエティ番組、情報番組のディレクター&プロデューサー・管理部門・経営企画局長・コンテンツ事業局長(放送外事業…インターネット・モバイル、VOD、CS放送、国内・海外コンテンツ販売、商品化・通販、DVD制作販売、アニメ制作、映画製作)
2010年現職(株式会社TBSメディア総合研究所 代表取締役社長)
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