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201310/8

Playするテレビ(志村一隆)

WatchするテレビとPlayする映像

 

志村4

 

どんな表現もその黎明期は、少数のテクニシャンが作品の制作や発表する機会を独占する。
その後、長い時間かけて、表現者が増える。いまや、文字を読んだり、書いたりすることを特別な技能だと思う日本人はそういないだろう。
物語を読んだり書いたりするのは誰もができるが、映像はどうだろう。
100年前のアメリカ東海岸、映写機はエジソンに独占されていた。エジソンから逃れ西海岸に移った人たち。彼らこそハリウッドスタジオの祖先だ。ちなみに、200年前写真を撮影するには特許料が必要だった。
いまや、カメラも編集もスマートフォンに内蔵されている。
国内だけでも4,000万台のスマートフォンが出回っている。YouTubeには、1分間に100時間分以上の映像がアップロードされる。YouTubeが盛り上がった2006年以来、まだ7年しか経ってないのに。。。
映像表現は生まれて100年程度で、鑑賞するだけのものから、みんなで「遊ぶ」ものに変わっているのだ。物語や音楽は、長い時間かけて、完成品を鑑賞したり、ときには自分で演奏する楽しさを享受してきた。まだ歴史の浅い「映像」は、そんな「表現」の民主化を急ぎ足で辿っているんだろう。
映像が生まれて黎明期の60年、君臨したのが「テレビ」王朝だ。テレビは3メートル離れてWatchする以外に楽しむ手段がなかった。
だが、これからはPlayする映像の時代が延々と続く。
「テレビ」の未来は、映像でどんな「遊び場」を提供してくれるのか?を問わなければ見えてこないだろう。
紙主体の「新聞社」に未来は無いが、「ニュース」はいつでも必要だ。「レコード会社」は廃れるかもしれないが、「音楽」はどの時代にも必要とされる。
それと同じで、「テレビ局」に未来は無いかもしれないが、「映像」には未来があることだけは確かだ。

 

 

 

オマケ

 

半沢直樹を見てたとき、huluで「仁義なき戦い」も見てた。半沢直樹の上目遣いのカット。「仁義なき戦い」の松方弘樹とそっくりだった。
稲井さんの指摘
「内部統制の仕組みがない時代の企業の物語を書いていく際に、半沢や近藤という登場人物に内部統制や不正検査の役目を担わせて、時代を先取りしたところが実に鋭い着眼点だと思う。」
法の無い世界での「仁義なき戦い」は、血沸き肉踊る、駆り立てられる。

 

 

 

志村一隆(シムラカズタカ)プロフィール
1991年早稲田大学卒業、第1期生としてWOWOWに入社。2001年モバイルコミュニティを広告ビジネスで運営するケータイWOWOWを設立、代表取 締役就任、業界の先駆けとなる。2007年より情報通信総合研究所で、メディア、インターネットの海外動向の研究に従事。2000年エモリー大学で MBA、2005年高知工科大学で博士号
『明日のテレビ-チャンネルが消える日-(朝日新書)』、『ネットテレビの衝撃(東洋経済新報社)』が絶賛発売中。ツイッターは zutaka
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