放送の増えすぎちゃったのかもしれない状態、どうするの?
新しいチャンネルを起ち上げる時、そのチャンネルへユーザーはどうたどり着けばいいか、想像したのでしょうか。有料チャンネルの支払いに関して、まったく別の多チャンネル事業者を介さないといけないのをユーザーがどう受けとめられるか、イメージしてみたのでしょうか。
放送事業の話になると、妙に色めき立つ人たちがいます(もう過去形かもしれませんが)。放送はかくかくしかじか、こういうものだ。こうやればいいのだ。あそこはこうやって成功した。でもその人たちはたいてい、放送に乗せる番組には興味がなく、放送はビジネスになる!という確信だけを持っている。いま思えばその確信にはほとんど根拠はないのですが、でもとにかく、ものすごく俯瞰でしか物事を見ていない。そんな人たち。
放送って何だろう、ということをぼくたちはもう一度問いかける必要があるのだと思います。放送は社会に必要だと思いますが、同時に思うのは、こんなにたくさんはいらないんじゃないかということです。新BSに限らず、増えすぎちゃったんじゃないか。増えすぎちゃったのは、なぜか放送となると色めき立っちゃう人たちが、番組やユーザーを想像せずにただ突き進んじゃったからだと思うのです。
その上で、放送に可能性があるとしたら、それはネットをどう活用するかに鍵があると思います。ネットでも番組を視聴できるようにするとか、アプリで予約できるようにするとか。Dlifeもよくよく見ると、GyaOで見逃し配信したり、リマインドメールの登録ができたり、いろいろ取り組んでいるようです。そんな手法をぐいぐい推し進めて、テレビ放送なのかネット上のサービスなのかわかんなくなるくらいに持っていくといいと思います。テレビリモコンでのたどり着きにくさを乗り越える、ネットを介しての接触しやすさ、ユーザビリティを獲得できるかもしれません。
聞くところでは、VODは今すごい勢いで伸びているそうです。この勢いは、これまでの放送のニーズの一部を呑み込んでいくのだと思います。実際ぼくは最近、huluやAppleTVでコンテンツを探し、ケーブルテレビでは探さなくなりつつあります。これに対抗するには、放送サービスもVODになってやるぜくらいの戦略が必要なのです。
放送サービスはあらゆるデバイス、あらゆる経路でコンテンツを随時送り届ける事業になる。放送はそのコンテンツを観るタイミングの目安みたいなもの。先週第3話が放送されたよね。その日に観れなかったけど、iPad上でVODで見ようかな。そんな視聴スタイルができるようにするのです。そういう便利なサービスを実現しないと、最新ドラマじゃなくてもhuluがあればいいよ、と言われてしまいます。ほんとにそうなりかねないです。
放送の、増えすぎちゃったかもしれない状態。これからけっこう深刻に考えるべきテーマになりそうな気がします。みなさんほんとに、ユーザーの視点でちゃんと考えた方がいいです。なんでしたらぼく、お手伝いしますよ。
境 治 プロフィール
フリーランスのコピーライターとして長年活動したのち、映像製作会社ロボット経営企画室長・広告代理店ビデオプロモーション企画推進部長を経て再びフリーランスに。2011年7月に『テレビは生き残れるのか』を出版。
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