あやぶろ/OLD

テレビの中の人による唯一のテレビ論、メディア論ブログ

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20133/6

「英国のテレビは面白い!」プラスの生態圏とネットメディア化(小林恭子)

―ニュースで競争

 

少しでもニュースに興味がある人にとって、最も刺激的な体験を得られる国の1つが英国かもしれない。

 

テレビ、ラジオ、新聞、ネットそれぞれが、24時間、しのぎを削りあいながら報道しているが、テレビのインパクトは非常に強い。

 

定時の放送に加え、24時間ニュースの放送を行う複数の放送局があるため、特に世界的な大事件が発生すると、刻一刻と、事態の進展を様々な情報源から取得できる。

 

この24時間ニュースの専門チャンネル(BBCニュース、スカイニュース、アルジャジーラ英語など)は、ネットでも同時放送している。

 

テレビの記者はラジオでも、ブログでも、ツイッターでも情報を発信する。事件発生時のライブ感は圧巻だ。視聴者(=ネット利用者でもある)は世界の出来事の進展に自分が参加しているかのような感覚を持てる。

 

一瞬の動きを刻々と追うと同時に、チャンネル4は「ディスパッチ」(月曜日午後8時)、BBCは「パノラマ」(月曜日午後8時半)という調査報道番組を常設し、この中で時事ドキュメンタリーを放送する。ニュース好きの人はこのような番組を見て、ツイッターでああだこうだ、と言うわけである。

 

1927年に創立の英王立テレビジョン協会は、毎年、優れたテレビジョン・ジャーナリズムに賞を与える。2011-12年度の新人ジャーナリスト賞、毎日のニュース番組賞、テレビジョン・ジャーナリスト賞、司会者賞を受賞したのが、チャンネル4の午後7時のニュース(「チャンネル4ニュース」)の面々だった。

 

チャンネル4ニュースの1つの売りは海外ニュースだ。世界の紛争地に記者を飛ばす。時には現地の政府からにらまれ、拘束されたり、大使館から「報道が偏っている」と批判されることもある。しかし、「当局からの批判」はむしろ勲章としているようである。

 

スクープ賞は、BBCの名司会者(故人)による性的虐待疑惑を暴露したITVの番組が受賞した。

 

 

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