[ソーシャル時代の広告・リアル飲み会のすがすがしき<激論>など]“せんぱい”日記⑨ ― 前川英樹
暫く、“せんぱい”日記をお休みしていた。今回は、あや取り式日記という手でいこう。
1/23(日)
山脇伸介君の「Facebook-世界を制するソーシャルプラットフォーム」(ソフトバンク新書)読了。結構面白く読んだ。最後の4/1は息切れ感があるけど、類書が多い中で、善戦健闘・・・といって、類書を片っ端から読んだわけではない。
それにしても、どうしてみんなそんなに< 繋がりたい>のだろう。「繋がらなくても生きていける」という、それこそ< オレは一人で世界との向き合ってる>みたいな思い上がりはないのだろうか。あるいは、現実の(=リアルな)人間関係が希薄になってしまったのか。はたまた、観念に生きることのアクチュアリティーが解体されたのか。
1/24(月)~27(木)まで戸隠。猛烈に冷えて寒かった。朝は雪が締まり過ぎで滑らないほどだ。こんな時に対応するワックス(例えば、トコのグリーン?)なんて、滅多に使うものじゃないので用意してなかった。何本か滑るうちに快調。会心の3日間だった。
1/28(金)
シンポジゥム「ソーシャル時代の歩き方-ソーシャル・メディアを活用したコミュニケーション設計手法について-」(主催:日本マーケティング協会)に参加。
電通の佐藤尚之(サトナオ)さんと「あやブロ」のあや取り手博報堂の須田さんの話が刺激的で面白かった。
□佐藤さんの話から拾ったキーワード
・「クリエイティブはアテンションから< 共感>へ」
・「一つの<100万人>ではなくて、
100人×100人×100人の<100万人>」
コレ、いいな。テレビは100万を市場の最小単位とし、
ネットは100万をその上限とする、
という「分かりやすい解説」があって、
「なるほど」と思っていたけど、
そうかそれこそ< 繋がる=掛け算>ということなんだ。
・「母数を増やす時間軸のマネジメント」(…これは相当大事な認識だ)
そこから「マス媒体(TV)が効く」というデザインが生まれる。
□須田さんの話から拾ったキーワード
・「発信力ではなくて< 被リンク力>=点からの拡大」
・「コミュニティーの核には必ずストーリーがある」
…(これって神話的ってことに繋がるのだろうか?
だとするとイイかもしれない)
・「未来はルーツにある」
…(これも前川的にいえば「そのメディアには生成の時に
何が刻印されているか」ということになる)
① 広告は美人暦から
② 栓抜きに彫られた< キリンビール>の文字=使われることによる愛着
時節柄?会場は大盛況。満席。結構イイ参加費なんだけどね。
シンポにはあや取り手の志村さん、管理人の氏家君も出席していたので、須田さんと一緒にそのまま「あやブロ飲み会」へ(六本木「豚組」)。そこに、「『60年代のリアル』にあやを取るように」とぼくに迫った阿部さんや、「あやブロ」で60年代のジャズ的と「世界ふしぎ発見」についてフォローしてくれた木原君、そして最後に須田さんの線で博報堂のキュレーター(って、何してるんだ?)の河尻サンも参加。
7人入り乱れての会話は面白かった(…けど、なに話したんだっけ)。
翌々日の須田メールには「 いやー、というか、金曜の夜は、 本当に、イマドキ、ありえない激論の会で、すがすがしかったです」とあったので、「< 激論>というには結構良い雰囲気で、『表に出ろ!』などとならないで良かったですね。ああいう会合がイマドキあり得ないとすると、イマドキの人は寂しいね」と返信。須田さんからは、「時々、twitterのタイムライン上で、やや感情的な「激論!」が、戦わせられていたりしますが、、やっぱ、飲みの場での方が、楽しくて、いいです(発言内容はtwitterだと、テキスト保存しやすいですけど)。」とリアル飲み会支持論が返ってきた。
彼ら、といっても夫々に個性的で専門的だから一括りにできるはずもないが、しかし僕より相当に若いということだけは共通していて、その彼らと議論していると、しばしば笠井潔と東浩紀の破綻した対論「動物化する世界の中で」(集英社新書)を思い出す。夫々に踏み込もうとしてついに結節点を見出し得ない対論、時代とか世代とかの< 差=相異>の残酷さをまざまざと見せたという点で、これほど露骨な例は余りないかもしれない。僕の力量では、そこまで残酷な議論になるはずもないが、だがフト背筋の寒さを感じないわけではない。
そういう意味で、彼らは優しい、と思う。草食系とは言わないが、「鯵定的」革命論議の時代の方が確かにずっと肉食系=身体的だった。といって、誰でもがしょっちゅう「表へ出ろ」と言っていたわけではない。でもね、”ある意味”ではその延長上に< 浅間山荘>があった、といえなくもない…か。観念と暴力の相克。日本は、近代史も戦後史も、なにも< 総括>していない、と突然そんな感想が湧いた。
1/29(土)
「放送人の会」幹事会。
終わって何人かと一献。帰りの地下鉄で今野勉さんに毎日新聞の「60年代のリアル」の話をしたら、「読んだ読んだ、この頃の学生は、結構60年代のテレビに興味があるんだよね。一度何処かでちゃんと書かなきゃと思ってる」という。是非書いてほしい。
帰宅して、深夜にサッカー・アジアカップ決勝戦を観る。アジアカップの日本戦は、番度ドラマチックだ。
翌日「あやプロを読んでみてください」と今野さんにメール。
この後、「60年代のリアル」や志村さんの「あやブロ」について書き出したのだが、長くなりそうなので、別「あやブロ」にすることにした。乞、引き続きご参照。
前川英樹(マエカワ ヒデキ)プロフィール
1964年TBS入社 < アラコキ(古希)>です。TBS人生の前半はドラマなど番組制作。42歳のある日突然メディア企画開発部門に異動。ハイビジョン・BS・地デジというポストアナログ地上波の「王道」(当時はいばらの道?)を歩く。キーワードは”蹴手繰り(ケダグリ)でも出足払いでもいいからNHKに勝とう!”。誰もやってないことが色々出来て面白かった。でも、気がつけばテレビはネットの大波の中でバタバタ。さて、どうしますかね。当面の目標、シーズンに30日スキーを滑ること。
コメント
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