テレビの未来②:テレビをサービスとして見ると不便で時代遅れだ
前回の『テレビの未来①』で、テレビを取り巻く環境の現状について次のように述べた。
テレビは放送免許による制約はあるものの、競争相手がごく少数に限定されるという極めて優遇された環境、言わば「テレビの壁」の内側にいることで、メディアの王者として君臨してきた。
しかしインターネットやソーシャルメディアの爆発的普及、デバイスの多様化と進化、それに通信速度の高速化によって、テレビの壁の外側でも、放送を脅かすような動画コンテンツの新たな流通経路が誕生し、急拡大している。
このテレビ側のコントロールが効かない新たな領域は、インターネットの、いつでも、どこでも、だれにでも浸透してゆく特性で、テレビの壁を乗り越え通り抜け、内側に侵蝕している。
半世紀以上もの間、テレビ業界を守ってきたテレビの壁が崩壊し始めているのだ。それを一気に加速させるのがスマートテレビだ。
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『テレビの未来』シリーズ第2回目の今回は、タイトルにも書いた、「テレビをサービスとしてみると、ユーザーにとっては不便で時代遅れだ」について述べる。
テレビ局から送られる番組を見るだけだった「視聴者」は、自分の知りたいこと、見たいモノは検索して探し出し、ネットでの呟きを見て面白そうなコンテンツを見つけ、いつでもどこでもそれを楽しめることが当たり前と感じる「ユーザー」となった。
ユーザーはソーシャルメディアのタイムラインで面白そうなコンテンツを見つければ、そこに貼ってあるリンクからクリックひとつで簡単に見られるというような、至れり尽くせりのサービスに慣れ親しんでしまい、それを当然の事と思ってしまっている。
ユーザーとなってしまった視聴者の目に、テレビ放送という「サービス」はどのように映っているのだろうか。
テレビ放送というサービスは基本的に、自宅にいる時だけ、放送されている“今”だけ、番組を提供するというものだ。テレビが誕生して以来60年もの間、このサービスの形は変わっていない。いやいや録画視聴だってできるじゃないか、という意見もあるかもしれないが、録画視聴はテレビ局が提供しているサービスではなく、家電メーカーの製品によるサービスだ。
ワンセグ放送は自宅以外でも視聴できるサービスだが、今この瞬間に放送している番組しか視聴できない。高機能なケイタイやスマホなら、ワンセグ放送を録画できるが、録画する時に受信状態が悪ければダメだ。
またスマホ市場で大きなシェアを占めるiPhoneにはワンセグ放送を受信する機能がついていない。
いつでも、どこでも利用でき、友人やソーシャルメディア上で話題になっているコンテンツを共有し楽しめるインターネット・サービスに慣れてしまったユーザーの目には、このようなテレビというサービスは、とても不便で時代遅れのサービスと映ってしまう。
さらにユーザーは、テレビというサービスが不便なままとなっている理由は、テレビ局が既得権益を守るため、利益を外に漏らさず囲い込んでいるためだと思っており、ニコニコ動画やYouTubeを見ることはクールだが、テレビを見ることは「ダサい」という風潮にさえなってきている。
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