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20147/23

『SASUKE』、世界的人気爆発で、TBS発のグローバル・コンテンツ化加速!

TBSの大型スポーツエンターテインメント番組『SASUKE』の世界展開に拍車がかかっている。

『SASUKE』は、1997年にTBSで第1回放送。2006年に、番組誕生からやや遅れて世界デビューしたが、紆余曲折はあったものの、以降、世界5大陸157の国・地域で放送されるまでになり、世界的な知名度と人気は順調に拡大!特に直近の数年は目を見張るものがある(これまでの経緯詳細に関しては、過去「あやぶろ」の関連記事をご覧ください)。今回は直近の動向を2例ほどご紹介!

まずはベトナムでの展開!

140605_SASUKE Vietnam baner RGB (side nho)“SASUKE Vietnam”、番組ロゴ

アメリカ、マレーシア、シンガポールでの現地制作に続き、今度はベトナムでの現地制作が決定した。現地制作4ヶ国目となる今回は、『SASUKE』同様、第4ステージまであるフルスケール。これは、アメリカ現地制作版“American Ninja Warrior”の決勝の舞台としてラスベガスに制作されたものに続き海外では2例目、東南アジアでは初となる。収録は今年度内に行われ、VTVの地上波メイン・チャンネルVTV3で連続シリーズとして放送予定。ベトナムの制作陣は、既に2月にマレーシアで開催された『SASUKE ASEAN OPEN CUP』や、5月に緑山スタジオで行われた『SASUKE 2014』最新話の収録も視察しており、万全の態勢を整えている。

制作はドラマ『パートナー』も共同制作したベトナム国営放送局VTV(ベトナムテレビジョン)。6月上旬にベトナム・ホーチミン市内で開催された国際テレビ見本市Telefilm2014(テレフィルム2014)において、同社ミン社長が、ベトナム現地制作版 “SASUKE VIETNAM(仮)”を正式発表した。TBSも出展参加したTelefilm2014会場内のVTVの屋内特設スペースには、『SASUKE』の人気エリア「そり立つ壁」と「ターザンロープ」のセットが原寸大で登場。この模様は、現地のニュース番組でも取り上げられた。

140605_Sasuke Vietnam_Telefilm 2Telefilm2014に登場した原寸大の『SASUKE』セット

次に、エンターテインメント大国アメリカでの展開!

アメリカ現地制作版 “American Ninja Warrior(アメリカン・ニンジャ・ウォリアー)”の最新シーズン6(ANW6)が、5月26日から、地上波NBCの毎週月曜G(ゴールデン)帯午後9~11時の2時間番組としてレギュラー放送が始まったが、これが関係者の予想や期待をも大きく上回る快進撃を続けている。

ANW6放送の月曜G帯には、ライバル局FOXに“24”の最新シリーズ“24: Live Another Day”、“MasterChef”、ABCには“The Bachelorette”、CBSには“Under The Dome”最新シリーズ、”48 Hours”など、放送各局が週の中でも重要視する時間帯だけに、名だたる人気番組が連なる。

American Ninja Warrior“American Ninja Warrior”シーズン6、番組ロゴ

この強豪ひしめく月曜G帯で、ANW6は、初回こそ僅差の2位だったものの、6月2日放送の第2回以降、なんと4週連続視聴率トップを記録している。6月2日の第2回では、広告主が最も重要視し視聴率の指標ともされる男女18〜49歳層で、5月26日の初回放送の実績を19%上回り、全米で約526万人が視聴した。ANWは2012年から地上波NBCでシリーズ放送されているが、今回の実績は、2012年7月23日放送のシーズン4の最終回と、今年1月13日に放送された「日米頂上決戦特番」“ANW: USA vs. Japan”に並ぶ、シリーズ最高視聴率。翌6月9日には、ABCで、米国人で知らない人はいないと言われるほど著名なジャーナリストでキャスターのダイアン・ソイヤーによるヒラリー・クリントンの独占インタビュー番組もあったが、再び強力な布陣の中で2時間番組であるにも関わらず視聴率トップを記録。ちなみに、これは同時間帯トップなだけでなく、月曜全局全番組中で2週連続トップとなった。また、第4回の6月16日には、今度は番組後半の10~11時帯で、2位に+78%と圧倒的な差をつけて勝利。これは、2位ABCと3位CBSの視聴率を足した数字にほぼ匹敵する。6月23日放送の第5回は、更に前週比+13%でシーズン最高視聴率を更新し、再び視聴率トップを記録!これで、通算、同時間帯4週連続トップ、内2週は、月曜全日全局全番組中でもトップと、関係者の期待を上回る快進撃を記録している。ANW6の好調ぶりは、多数の米メディアも毎週報じている。またANW6の視聴率が、鳴り物入りで始まった“24”の新シリーズを何度も上回ったことで、「ニンジャがジャック・バウワーに勝った」との見出しも複数のメディアで踊った。

ANW6は、昨年より更に規模を拡大し、全米5都市(ロサンゼルス、ダラス、セントルイス、マイアミ、デンバー)で地方予選を行い、決勝の収録は、昨年同様ラスベガス随一の目抜き通りストリップ沿いの大規模セットで行われた。ANW6は、9月までレギュラー放送の予定で、第5話までの放送内容は、まだ1次予選ラウンド。6月30日(月)に、放送日程の関係で一旦「日米頂上決戦」を再放送し、2次予選ラウンドの模様が7月7日(月)から再びスタートした。再放送の6月30日(月)は、流石に視聴率トップと言うわけにはいかなかったが(それでも、後半の1時間は新作を相手に2位と大健闘)、7日の2次予選以降は、CBSで人気シリーズの“Under The Dome”の最新シリーズの初回放送があったものの、これも破り、再び、同時間帯視聴率1位を記録。翌週14日も1位を記録し、再び連勝している。また、ANW6は、これまでいずれの回でも、30分毎の視聴率で、最初の30分(午後9時~9時半)から最後の30分(午後10時半~11時)まで、視聴率が右肩上がりで上がり続けている。これで、実質、6週間連続の同時間帯視聴率1位の快進撃である(7月14日現在)。また、この好調ぶりを受け、NBCは、日曜G帯午後7~9時にも、ANW6の前の月曜放送分を再放送する決定を下した。ANW6は、元々、全米ケーブル局Esquire(元G4)の火曜G帯午後8~10時でも放送されている事から、ANW6は、全米ネットワークのG帯で実に週に6時間も放送されている事になる。同じレギュラー番組が、同時期に複数の全米ネットワークG帯で放送される事自体極めて稀で、2時間番組が週3回、全米ネットワークG帯で計6時間も放送されるなどと言う事は恐らく前例が無いだろう。

最後に、今年、3年連続でラスベガスでの決勝収録に立ち会った際の裏話を!実は、今回、日本から選手を数名連れて行ったのだが、入国時の質問に対し、“Ninja Warrior”の収録のためと告げたところ、入国審査官がファンだったらしく簡単に入国を許された。また、収録現場で選手2名が軽傷を負ったため、念のため地元の病院に連れて行った。結果、2人とも軽い打撲との診断。これだけなら特段、何の変哲もない話なのだが、まずは最初受付でのやり取り。それまで極めて事務的に応対していた女性看護師の質問に答え、彼らがANWの選手(つまりNinja)である事を説明した途端、“Are you serious? I am a huge fan of your program.(本当~? 私、あなた達の番組の大ファンなの!)”と静かな病院の受付で大興奮。更に、問診やレントゲンを撮る間の待ち時間に、何と看護師3名に医者までも2名が、我々が通された個室に、「本当は患者にこんな事をお願いしてはいけないんだけど…」と前置きをしつつ、入れ替わり立ち代わりやってきて、スマホでの選手との記念撮影を希望してきた(最初の看護師が同僚に話しまくったに違いない)。まさに、セレブのような扱いである。選手を連れて行った訪米経験中、アメリカ人選手や一般の若年層にワーワー騒がれた事はこれまでもあったが、一見テレビ番組には関心がなさそうな入国審査官や若年層ではない医療関係者達までもがNinja(しかも、冷静に見れば番組に参加している一般の方々である)に夢中とは…。選手達自身も驚くほど、番組の知名度と人気が想像以上に拡大している事を改めて実感した瞬間であった。

まだまだピークが見えない『SASUKE』の世界展開。以前にも増して日本発の、いやTBS発のグローバル・コンテンツとなってきた現在、今後の展開から目が離せない!

TBSコンテンツの海外輸出に関しては、下記の「海外事業」公式サイトで、最新情報を国内外に向け発信しています:
<TBS海外番販公式Facebook> http://www.facebook.com/tbs.intl.sales
<TBSオンライン・カタログ> http://www.tbs.co.jp/eng/programsales/index.html
<TBS海外番販公式Twitter> https://twitter.com/TBS_prosales

データは2014年7月19日 現在

 

杉山真喜人(スギヤマ マキト)プロフィール
テレビ局のコンテンツ海外販売を担当して18年目。「しあわせ家族計画」「風雲!たけし城」「未来日記」「SASUKE」等、多くのテレビ局作品の輸出を手がける。TOEIC965点。国連英検特A級。テレビ局にアナウンサーとして入社する前には、日米合作映画「MISHIMA」(プロデューサー:フランシス・コッポラ&ジョージ・ルーカス)の監督付きアシスタントをした経験もある。本業の傍ら、バイリンガル・ナレーターとしてCMやビデオの声の出演も多数。

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