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20128/17

8・17【せんぱい日記】「恐竜の時代は2万年続いたが、我々はまだ60年だ」とNABスタッフは語った。15年前のことだ。前川英樹

8/2(木)

午前中診療所。
MRIの撮影結果に特に問題なしとの判定。

「あやとりブログ」に境治さんポスト【スーパースターはもう生まれない(そして、それでいいかも)】[h1]
「テレビは何を伝えてきたか」を読んでのコメント。あやブロ暑気払いのときの約束に早速応えてくれた。
20世紀に成熟した分野(もちろんテレビもそうだ)では、もうスーパースターは生れないのかもしれない。プロ野球にもはや長島、王が登場しないだろうというのと同じだ。あるいは、映画の世界もそうだ。ビル・ゲイツなどのスーパースターは、21世紀に成熟するであろう、つまりいま発展途上のジャンルに生まれる。では、文学はどうか、などと考えてみる。

8/4(土)
深夜、<なでしこ>のブラジル戦を観る。予選リーグ2位狙いが議論を呼んだが、これで良かった。良い戦い方だった。

「草枕」(夏目漱石 新潮文庫)。いま、何故「草枕」か、は前回書いた。
終末近く、日露戦争に出征する青年を送る場面がある。この「草枕」の舞台になった熊本県玉名の村は、自由民権運動の盛んな地域で、那美のモデルとされた前田棹(つな)の父前田案山子は民権運動の有力な指導者だった。中江兆民もこの地を訪れている。漱石がそれを知らないはずがない。その中江の弟子、幸徳秋水が日露戦争について「平民新聞」で非戦論を唱えたことも漱石は知っていただろう。何を思って漱石は、この美学的探求をテーマにした「草枕」の最後に、日露戦争を登場させたのだろうか。
と、思いつつ「『草枕』の那美と辛亥革命」を読み始めたら、これが望外の面白さだ。読み終わったら、また何か書くことになるだろう。

8/5(日)
民放連が地デジヒストリーを編纂中。何か写真はないかと問い合わせがあったので探してみる。
民放連デジ特見解「地デジ不可避論」が出る前年(1998年)に、民放連はアメリカ・デジタル状況視察団(北川ミッション)を派遣した。その時のNAB(全米放送事業者連合)訪問の集合写真が出てきた(スキャンしてデータを取るのを忘れて担当者に渡してしまった)。
その頃、放送業界はインターネット関係者から「隕石衝突で消滅した恐竜のように、放送はインターネットの登場で滅びるであろう」などといわれていた。NABのスタッフに「・・・といわれているけれど、どうなの」と質問したら「恐竜の時代は2万年続いた。我々はまだ誕生して60年しか経っていない。」と開き直っていた。
その時の報告書のキーワードは「賽は投げられた」だったと思う。
ワンセグ・サービスに必要なH.264の技術特許を巡る国際交渉が合意した時の写真もあった。技術特許の国際交渉なんて(しかも、日本側代表で民放事業者の全権委任だ)、地デジに関わらなければ巡りあわなかった。いろんなことをやったものだ。

「桐島、部活やめるってよ」を読み飛ばす。映画化されるというので、以前書評で評判が良かったことを思い出して読んでみた。
いまの17歳がリリカルに描かれている。ちょっと感心した。
桐島君が最後まで登場しないのもいい。

8/6(月)
広島、原爆記念日。

8/7(火)
昨夜もなでしこ。
フランス戦は負け試合を粘りに粘った。こういうしぶとい勝ち方は大きい。
試合が終わって、グラウンドに座り込んでしまったフランスの選手に宮間が自分も座って声をかけていた。良い情景だった。こういうことが出来てしまう人間は、そうはいない。

午前中、六本木の眼科。緑内障の治療のための視野の検査。右目の異常に気がついてからもう5~6年経つが、薬で進行が止まっている。その間に白内障の手術をして視力は良くなった。それとは別に右目の眼底には傷があり像が歪む。もともと右の視力はひどいもので、0.1もなかった。右目はぼくの鬼門みたいなものだ。だが、緑内障の症状が安定しているのにホッとした。先日の高校のクラス会に来た友人は緑内障で失明したのだ。

8/8(水)
深夜のオリンピックテレビ観戦、男子サッカーは完敗。

体のメンテナンスのためのマッサージ。今日は、赤坂。
診療所の眼科で眼薬。一昨日の検査結果をもとに、処方はTBS診療所。保険の関係。

8/9(木)
長崎、原爆記念日。

稲井ポスト【黄金の海】[h2]
「せんぱいは夏休みに入る」と書き込んだが、フト思い至った事がある。それはハイビジョンのことで、これはほかのだれにも書けないことだ。夏休みに入る前にメモだけでも作っておこう。

8/10(金)
早朝、女子サッカー決勝戦。
なでしこ、勝ち損なった。失点が一つ余計で、得点チャンスを逃し過ぎだ。
惜しかった。誤審の問題ではない。彼女たちはホントに悔しいだろう。試合直後の宮間の涙が全て。
それにしても表彰式の彼女らのパフォーマンスは素敵だった。電車ごッこというかムカデ競走みたいに登場し、壇上で一人ずつウェーブのようにお辞儀をし、楽しそうにメダルを受け取る。ちょっと感動した。

8/11(土)
放送人の会を社団法人化しようということになったのだが、そのためには定款が必要で、その担当になってしまった。日本脚本アーカイブズの定款を参考に作業。単純作業に徹しようと思ったが、そうもいかない。「これって、どうしてこういう規定になってるんだろう?」などと、つい考えいしまう。結構根気がいる。

8/12(日)
定款の次は校正。民放連研究所が出版する「ネット・モバイル時代の放送」の再校。連日細かい根気のいる仕事。「見る」と「みる」、「言う」と「いう」の使い分けなどなど、どうでもいいというわけにもいかない。疲れた。

8/13(月)
3泊4日、3世代7人で伊豆、今井浜・稲取へ。
朝5時発。順調で9時過ぎに今井浜着。
すぐに浜に出る。海水浴なんて、何年振りか。
テレビ小説「おりん―東京開化奇譚―」の収録開始前に、新人俳優たちと藤竜也さんそれにスタッフで下田に5日ほど合宿した時以来だろう。海に入るときにどういう支度をするかさえ忘れてしまっていた。

 

今井浜海水浴場

 

8/14(火)
男たちはゴルフだったが、風雨強く大苦戦。
海も雨で寒かったそうだ。それでも、孫は海で遊んだという。

8/15(水)
太平洋戦争、日中戦争、敗戦の日。
孫は、朝からプールと海で目一杯遊ぶ。親たち大変。
午後、稲取に移動。
ここの屋上露天風呂からの眺めは素晴らしい。

宿のテレビで尖閣諸島魚釣島に香港の活動家?が上陸、逮捕のニュースを見る。
竹島問題といい、各国政府は国内の経済不況による政情不安を回避し、人心掌握するための手段としてナショナリズムに傾斜する典型的状況だ。日本の政治状況の混迷は他国から見れば好機に見えるだろう。
リベラリストの躓きの石もナショナリズムであることがしばしばだ。
ここは考え所だ。

8/16(木)
男たちゴルフ。
孫と女たち動物園など。
妻の体調が気になったが、まあ元気でホッとする。
帰りの海岸沿いが渋滞したが、21時過ぎ帰宅。
さすかに疲れた。

 

稲取海岸の日の出

 前川英樹(マエカワ ヒデキ)プロフィール
1964 年TBS入社 。TBS人生の前半はドラマなど番組制作。42歳の ある日突然メ ディア企画開発部門に異動。ハイビジョン・BS・地デジとい うポストアナログ地上波の「王道」(当時はいばらの道?)を歩く。誰もやってないことが色々出来て面白かった。その後、TBSメディア総研社長。2010 年6月”仕事”終了。でも、ソーシャル・ネットワーク時代のテレビ論への関心は持続している・・・つもり。で、「あやブロ」をとりあえずその<場>にして いる。
「あやブロ」での通称?は“せんぱい”。プロフィール写真は40歳頃(30年程前だ)、ドラマのロケ現場。一番の趣味はスキー。ホームゲレンデは戸隠。


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