英国の大手テレビ局のデジタル化とは
12月4日開催された、ソーシャルテレビ推進会議(境治さん主催)の12月会合にパネリストの1人として、参加させていただいた。
当初、自分の頭の中では「ソーシャルテレビって、なんだろう」というところから始まり、「飲みながらの会議です」といわれて、リラックスした感じを描いていた。実際に会場に足を運んでみると、先のお2人のプレゼンがちゃんとパワーポイントを使ってしっかりした内容になっており、大丈夫だろうかと一抹の不安が・・・。
しかし、自分の番が来て、何とか英国のテレビの状況について話してみた。以下はその時の話を記憶をたよりにまとめてみたものである。
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前回のソーシャルテレビ推進会議では、英国からソーシャルテレビのプラットフォームを提供する「Zeebox」(ジーボックス)の方が来て、サービスを説明したと聞いた。Zeeboxはテレビのお供ともいうべき存在で、テレビを見ながら情報を共有しあうサービスだ。
前回は最先端のソーシャル・サービスの紹介ということだったので、今回はメインとなる部分、つまりはテレビのほうがどうなっているかを話してみたい。
まず、英国のテレビ界全体の構造だが、公共放送のBBCがあって、民放(商業)テレビとしてはITV(アイティービー)、チャンネル4(フォー)、チャンネルファイブがある。このITV,C4、C5が日本でいうと、TBSやフジテレビなどにあたる。
このテレビ局はいわゆる「地上波」(実際はデジタルチャンネルも持っているが)の主要チャンネルとなる。
これとは別に、有料テレビ市場があって、最大のものは衛星放送BスカイB(ビー・スカイ・ビー)。1000万人(あるいは1000万戸)の有料視聴者(サブスクライバー)がいる。ちなみに、英国の人口は日本の約半分だ。
―公共サービスとしての放送局
英国の放送業はBBCから始まっているが、このBBCと、先ほどの民放の主要チャンネルーーITV,C4、C5――は「公共サービス放送」(Public Service Broadcasting=PSB)というカテゴリーになる。公共の電波を使っているからそう呼ばれているのではなく、放送を公共のためのサービスとしてとらえているから。
このカテゴリーに入ると、番組構成に細かい規制がつく。一定の割合のニュース・時事番組、児童番組を放送する、自社の番組制作チーム以外の、外部の制作会社を使う割合(25%以上)などが規定される。
視聴者の役に立つこと、面白いこと、学べること、楽しめることなどを誰もがアクセスできる形で提供することが要求される。
―放送と通信が融合している
英国では放送と通信が融合している。この意味は、まず2003年の通信法で、放送業と通信業(電話会社、インターネットプロバイダーなど)の両方の監督・規制機関として、オフコム(Office of Communication 放送通信庁などと訳される)ができた。オフコムは年に何回か、国民の放送メディアや通信技術(モバイル機器など)の利用状況を報告書にまとめている。
放送と通信(ネット)の切れ目がないと実感するのは、大手放送局のサービスを利用しているときだ。
例えば、BBCなどがテレビ受像機を通じて番組を放送するだけではなく、ネットでも番組を視聴できるようにしている。テレビを最初の画面(ファースト・スクリーン)とすれば、コンピューターの画面(セカンド)、スマートフォン(サード)、タブレット(フォース)と、4つの画面で番組を見られるようになっている。(番組によってはまだ完全に4つではない場合もあるが、全体としてその方向に進んでいる。)
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