そこに、パースペクティブ= 展望はあるか?2014年の論点①
2014年の論点というと大袈裟ですが、
年末年始のいくつかの集まりでさまざまな方と話をしていて、偶然なのかもしれませんが、幾度も出てきた単語が
「パースペクティブ」
でした。
これも一種の啓示かなと思い、今年のメディア分野を「パースペクティブ」をキーワードに考えてみます。
この意味は、遠近法とか透視図法でして、アニメや漫画や模型、美術の世界では、パースと略して使われますが、ビジネスの世界では、将来の見通しとか、展望という意味で使われていると思います。
場所も話の相手も異なる場所で、この「パースペクティブ」が展望という意味で自然と出てきて、そして、それがなぜ強く印象に残ったかというと、もう小手先の工夫、アプリとかスタジオセットやテロップとかのクリエイティブとか、ソーシャルメディアなどの手札では、漠然とながら確実に存在するメディア分野の行き詰まり感はおそらく突破できない。ということを再認識したからです。
さらに言えばこの「パースペクティブ」が存在しない、いや持たないことが、コンテンツも、コミュニケーションも含め、テレビ、新聞、ラジオ、雑誌、ネットメディアもひっくるめたメディア全体を覆い尽くす「マスメディアってなんかダメという名の大河」の水源なのではないかと私は思います。
この河の支流には、「信頼できないね」とか「つまらなくなった」とか「くだらない」とか「電波料が安いよな?」とか「軽減税率を主張できる立場なの?」もあるのですが、根っこは多分同じです。
「パースペクティブ」なんて言い方はやめて、もっとはっきり言えば、
『日本という社会がどうなればいいと考えているか』です。
これが、作り手から提示され、作り手と受け手の間に共有されると、小手先ではないもっと大きなスケールで前例のないもの(番組や取材)が可能になるのではないでしょうか。
投資家と起業家の関係も「パースペクティブ」の共有があって、事業へのお金の投資が行われます。amazonなんて大赤字ですが、それでもOKなのは事業と経営に「パースペクティブ」が存在し、事業者と投資家の間に共有されているからです。だからあんな大勝負を現在進行形で行うことができています。
テレビ局もラジオ局も新聞社も出版社もネットメディアの編集室も、
『日本という社会がどうなればいいと考えているか』という展望がいままでになく、おそらくは別の形で問われるようになるでしょうし、だれからも問われなくとも、改めて提示を行い、それをアップデートし続けることで、大勝負を行えるように変化を生み出すことが必要だと私は考えています。
あっ、これって、前川さんが指摘していらっしゃる” 何よりも大事なことは、作る側が「何を伝えたいか、見せたいか」というメッセージ性を持つことだろう。”(http://ayablog.jp/archives/24719/3)にとても近いですね。
しかしながら、制作現場に限らず、作る側にとって展望とメッセージ性を持ってコンテンツを送り出すことは、とんでもなくハードルが高い現実があります。じゃ、どうすればいいか? 多少遠回りしながらも考えていきます。
(次回に続く)
岩田崇/ iwata Takashiプロフィール
1973年名古屋で生まれる。が、箱庭的風土に疑問を感じて上京。早稲田大学大学卒、広告業界でマーケティングプランナーとして販促企画から企業のネット コミュニケーション戦略の策定・実施を手がける。仕事を通じて、政治分野へのマーケティングとコミュニケーションの応用が今後の日本社会に必要と考え、慶 應義塾大学大学院 政策・メディア研究科に入学。
修士研究では、政治学の曽根教授、行政改革の上山教授に学び、合意形成に繋がる議論の場がない日本政治の機能を補う仕組みとして、オンライン政策ファシリ テーター:『ポリネコ』を開発、特許化。また研究とは別の発明として、企業と社会のつながり視覚化する方法を開発し特許化。
フジテレビ『コンパス』、朝日新聞『オルタナティブニッポン』では、既存メディアとソーシャルメディアの組み合わせによるコンテンツを企画開発、新潟市では公共交通の再構築にも携わる。
現在は、メディア環境の変化を踏まえ、合意形成コミュニケーションメディアとしての『ポリネコ』の実用化、新しいニュース、討論番組の開発などに取り組む。
「Challengingな仕事、大好物です。」 twitter:iwatatakashi
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