● GoogleGlassの向こうに見る、その先のインターフェイス(伊與田孝志 )
■2. 物理的なデバイスを手元に持つ必要なしに、どこでもコンピュータとコミュニケーションできる状態
仮に1に書いたような状態を実現したいとして、実際の使用感として問題になるのは、「眼鏡型デバイスを常に装着している状態が前提になる」ということです。
アニメ「電脳コイル」の世界のように、日常的に電脳メガネをかけているのが当たり前の状態であればいいのですが、そういう時代がすぐにくるとも限りません。
であれば、デバイスを身につけずとも、家中のあらゆる箇所にあるセンサーが指示を読み取ってくれる、という状態は実現できないのでしょうか。
イメージとしては、家中の部屋の天井に、Kinectのカメラのようなものがいて、ジェスチャを読み取る感じ。頭と手の位置関係から、何に対してどういう操作をしようとしているのか判別して…という感じでしょうか。
眼鏡型デバイスを使うより、正確さを確保するのが大変そうな気はしますが、理屈上は不可能な話でもなさそうに思えます。
この場合、先ほども触れた「操作に関する情報のフィードバック」は、プロジェクタで投影するという形に置き換えられそうです。
見る人の視点の位置を把握して、そこから正しい形で見えるように補正して投影することができれば、あたかも空間に映像が投影されているように見せることも不可能ではないのでは。
こう考えていくと、これってつまり、富士通研究所の「指キャプチャ」を、部屋全体に拡大したようなシステム、ということになりそうです。
「富士通の担当者は実用化例として旅行会社のカウンター業務、役所などでの情報表示などを挙げている。」とのことですが、そんな地味な話にとどまってていてはもったいない。このシステムが空間全体を支配したとき、とんでもない破壊的イノベーションがもたらされる可能性すらあると思えます。
ところで余談ですが、「Tangible user interface」という概念があるそうです。
サイエンスZEROか何かで見た以上の知識がないので迂闊なことは言えませんが、「リアル世界の物体を操作するインターフェイス」的な意味で、なんとなく近い文脈にありそうな気がします。(気のせいかも)
個人的には、Tangible user interfaceがどうすごいのかいまいちピンと来てないところがあるのですが、詳しい方いらしたら、そっちの文脈からもぜひ掘り下げていただきたく。
ちなみにさっきから、指でカーテン開けたりする件を前提として話していますが、その件を置いておいたとしても、手元にデバイスを持たずにコンピュータとコミュニケーションできるインターフェイスというのは、重要な意味を持っていると思います。
アニメ『PSYCO-PASS』で、主人公のひとり・常守朱が自宅で使用しているコンピュータは、3D投影されたコンシェルジュ的なキャラクターと会話するというインターフェイスを備えています。
呼べば人の横に出てきて、指示すればよきように対応してくれる。「なんかニュースない?」といえば、おすすめの重要なニュース映像を目の前に流してくれる。
近未来SFにはありがち設定のような気もしますが、このありがちな設定が、あたりまえの未来を的確に表しているのではないでしょうか。
だって、いかにスマホがコンパクトだといっても、さすがに手元にないときもあるし、水仕事してるときは扱いづらいし、風呂の中で使うには防水に気を使うし…とか、いろいろ不便じゃないですか。
『PSYCO-PASS』のようなインターフェイスが当たり前になった時代から現代を振り返ったら、なんて不便な時代だったんだろう、と感じると思うんです、きっと。
と、興奮気味に妄想を語ってみたわけですけども。
どなたか、このへんでなんか一緒にやってみようって人、いません?(笑)
伊與田孝志 プロフィール
ニフティ株式会社勤務。ソーシャルテレビサービス「実況レビ番組表みるぞう」のプロジェクトリーダー。
テレビ業界の外の立場から、ソーシャルとテレビが作る幸せな未来を探っています。
1996年、富士通株式会社入社。1999年よりニフティ株式会社勤務。
社会人一年目から一貫して、インターネットサービス事業に従事。ユーザーインターフェイス設計を中心に、数多くのインターネットサービスプロジェクトに参画。
コメント
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