あやぶろ

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20111/24

前川さんへのメール

前川様

阿部です。
最初に前川さんからいただいたメールを読んだ時に感じたのは「私だけ読ませてもらって、申し訳ないな」ということです。

困惑したり、戸惑ったり、もっと論じたいと思いながらも手をつけなかったり、共感すると思う部分があったりして、整理がつかないものをそのまま不用意に出してしまい、意見の交換を通じながら考察を深めていくのが、ブログというツールが抱えている形なのではないか。前川さんのメールを読んで、そんな思いも浮かびました。

ブログのツールは、最も原初的な形は、ブラウザにあるフォームに入力して、書き込みボタンを押すことでpublishされるものでしょう。PCには、エディター・ワードプロセッサーという「書くためのツール」、あるいはDTPソフトのような発行物をレイアウトするためのツールがあります。その中で、ブラウザという「閲覧するためのツール」を用いるのは、ちょっと興味深いです。ブラウザを使うというのは、ある種ネーミングの問題だけなのかもしれません。しかしボタン一つでpublishされるというのは、多くの過程をすっ飛ばして公になるという性質をツールとして持っているのではないかと感じるのです。

それとともに、spamの問題もあり機能しなくなってしまいましたが、トラックバック機能や、コメント欄が用意されているのは、完成した文章を置くというよりは、議論のためのツールだったという色彩を残しています。粗削りだったり、整理されてなかったりする文章をひとまずpublishして、意見を受けながらブラッシュアップするのが本来的な形なのかなと見ています。

こうした認識があるので、前川さんからいただいたメールは、「ブログ」に出して、全くおかしくないと感じていました。

ただ、筆者自身が、公にする文章に課している質の基準があったり、気乗りしない部分もあったりして、そう簡単には割り切れないのだろうとは思います。

なので、前川さんから「見送り・続編」のメールをいただく前は、実は無理に「これを出してほしい」とまでは要望するつもりはなかったです。氏家さんからのリアクションがあったと聞いて、やっぱり出してほしいなという気持ちが起こっています。

それとともに、私自身の関心として、団塊世代の先達はどう着地していくのかうかがいたい気持ちがありました。

前川さんたちの世代は、闘ってきたし、追求(追究?)してきた世代ではあると思います。その中で、例えば団塊世代の人たちは紛争の季節を過ごしたけれども、でもその後は社会の主流として組み込まれていったじゃないかという批判が、確か大塚英志さん辺りから出ていたように記憶します。

その世代の方々自身は、批判に対してどう答えるのだろうということが気になっていました。

しかし、毎日新聞はあの粗っぽさも含めて佐藤さんの論考を掲載しているのかもしれませんね。ただ、議論の取っ掛かりとして興味深いですが、新聞紙面に載るという、ある種固定されてしまう文章としては、もう少し詰めた方がいいのかなとも感じるのは、ひょっとしたら古い感覚でしょうか。

私の感じたことは、こういったところです。若干、からめ手な話が多くてすみません。

阿部圭介プロフィール
1976年生まれ。1999年に大学卒業後メディアの周辺に生息しつつ、大学院生としてメディアやジャーナリズムも学んでいる。「続く新聞媒体の模索」(印刷学会出版部『印刷雑誌』2009年12月号)「名誉毀損とプライバシー侵害――法曹界からの厳しい判断相次ぐ」(日本出版学会編『白書出版産業2010――データとチャートで読む出版の現在』)

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